EUの欧州金融監督機構(ESAs)を構成する欧州証券市場監督局(ESMA)、欧州銀行監督局(EBA)、欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)は12月18日、企業を短期志向経営(ショートターミズム)から訣別させるための規制のあり方についての見解を発表した。欧州委員会が、ESAs構成3機関に対し、表明するよう要請していた。
欧州証券市場監督局(ESMA)は、企業のESG情報開示の基準の統一と、機関投資からのエンゲージメントを提言した。具体的には、単一の国際的なESG情報開示基準を策定するとともに、年次財務報告書の中でも非財務情報を報告すべきとした。そのために、EU非財務情報開示指令(NRD)を改正すべきとした。機関投資家のエンゲージメントでは、EU公開買付指令に基づく「ホワイトリスト」の見直し、年次財務報告書に記された非財務情報開示に対する株主総会での議決権行使制度、EU株主権利指令(SRD)でのエンゲージメント義務の履行監視等を提言した。非財務情報開示に対する株主の発言は、取締役報酬に対する「Say-on-Pay」ならぬ「Say-on-Sustainability」と言える。
欧州銀行監督局(EBA)は、長期投資の前提となる堅固なプルーデンス規制の維持、EU自己資本要求指令(CRD)でのサステナビリティの法的取扱の明確化、銀行と事業会社の双方の非財務情報開示の信頼性及び比較可能性強化、銀行が把握できるESGリスクに関する情報・データ環境の整備を挙げた。
欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)は、長期投資を進めるためのEU全体での業種横断フレームワークの策定、長期的な価値創造を測るための指標開発を挙げた。
今回の提言を受け、欧州委員会は、今後の政策を検討する。
【参照ページ】ESMA PROPOSES STRENGTHENED RULES TO ADDRESS UNDUE SHORT-TERMISM IN SECURITIES MARKETS
【参照ページ】The EBA calls on banks to consider long-term horizons in their strategies and business activities
【参照ページ】EIOPA publishes advice on potential undue short-term pressures from financial markets
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