金融庁は12月20日、「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」がとりまとめたスチュワードシップ・コードの改訂案を発表した。日本版スチュワードシップ・コードは、2014年に策定し、2017年5月に改訂。今回改訂されると第3版となる。パブリックコメントを2020年1月31日まで募集する。
今回の改訂では、機関投資家の「スチュワードシップ」の大原則として、「機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)など」から、「機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティ(ESG 要素を含む中長期的な持続可能性)の考慮に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)など」に変わり、企業のサステナビリティに関するエンゲージメントを実施することが明記された。
また、原則の8つ目として、「機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである」が加わり、業務発注している年金運用コンサルタントや、議決権行使助言会社に対し、利益相反の防止、情報の正確性を求めていくことが盛り込まれた。特に議決権行使助言会社の利益相反については、EUで議論が先行した分野で、今回日本にも適用されることとなった。
一方、EUや英国では、投資運用でもESGを考慮することを義務化するルールが生まれてきているが、日本の第3版では、ESG考慮はエンゲージメントのみにとどめ、投資運用には触れなかった。
【参照ページ】「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(案)の公表について
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