金融世界大手米ゴールドマン・サックスは12月16日、一般炭(石炭)の新規採掘、山頂除去採掘(MTR)、炭素回収・貯蔵(CCS)技術が搭載されていない石炭火力発電の新設へのファイナンスを全面的に禁止すると発表した。さらに、米国金融機関としては初めて、「北極圏国立野生生物保護区」を含む北極圏での原油採掘へのファイナンスも禁止した。
米国は、欧州の金融機関に比べ、化石燃料へのファイナンス禁止や制限の動きが遅かった。特に、2010年頃からのシェール革命では、水圧破砕法を用いたシェールオイルやシェールガスの採掘にファイナンスを拡大し、北極圏での石油・ガス採掘にも積極的にファイナンスしてきていた。
今回の禁止措置は、プロジェクトファイナンスだけでなく、調達資金を禁止分野に用いる一般融資も対象となる。さらに、石炭火力発電に依存する既存の融資先電力会社と石炭に依存する資源開発会社に対しては、石炭火力発電や石炭以外への事業を拡大するようエンゲージメントを強化することも発表。石炭依存を下げる戦略を掲げない企業に対するファイナンスを段階的に廃止することも明言した。他方、石炭資源開発で著名なアパラチア山脈地域では、中小企業振興のためのプロジェクト「10,000 Small Businesses」を実施し、石炭以外の分野での雇用創出にも取り組んでいる。
他にも、違法森林伐採や違法森林火入れに関与が発覚した後、それらにか関与した企業やプロジェクトへのファイナンスも禁止するとした。一方、気候変動に関連するCATボンド(大災害債券)の販売に力を入れる。
今回の発表を受け、国際環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)やシエラ・クラブは、米国金融機関にとって重要な進展と賞賛した。
【参照ページ】Environmental Policy Framework
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