米カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)は12月9日、同基金として初の気候変動リスク報告書を発表した。同州政府は2018年8月、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)とカリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)に対し、3年毎の州議会への状況報告を義務化する州法「SB-964」を制定。初回の報告書提出期限は2020年1月1日に設定されていた。
【参考】【アメリカ】カリフォルニア州、カルパースとカルスターズに気候関連財務リスク考慮と報告を義務化(2018年9月6日)
カルパースは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインを意識し、今回の報告書を作成。但し、TCFDに準拠したアセットオーナー・レポートは2020年に発行する予定とし、今回は発展途上のものであると位置づけた。また、今回の報告では、投資先企業の開示データ不足により、不十分な内容になっているとし、今後、上場企業に自主的な情報開示を要請した。
今回の報告では、物理的リスクと移行リスクについて、カルパースとしての認識を細かく説明。その上で、TCFDが気候変動リスクが高いとしているエネルギー、輸送・交通、資源・不動産、農林・食品業の5業界について、カルパースの株式及び投資適格債ポートフォリオの構成比率を公表した。それによると、2018年12月31日時点で、エネルギー8%、輸送・交通3%、資源・不動産6%、農林・食品3%で、合計で20%を占める。
石炭火力発電に対しては、2015年にカリフォルニア州制定の「石炭火力発電会社公的ダイベストメント州法」により、17社がアラートリストに上がっていることを明らかにした。それら企業に対しては、同法によりカルパースはエンゲージメントを実施し、3社は再生可能エネルギー発電を事業内容に組み込みリストから除外。残りの14社は、同法により、2017年7月1日までにダイベストメント(投資引揚げ)されたと記載した。また別の8社もリスト対象となり、ダイベストメント採否が判断された。
また、その他二酸化炭素排出量の多い業種については、Climate Action 100+を通じて、集団的エンゲージメントを積極的に行っていることを説明した。議決権行使でも、2019年の株主総会では、環境関連の株主提案に対しては54%で賛成票を、46%で反対票を投じた。特に、リサイクル戦略、生物工学/ナノ工学での安全性、環境報告強化に関する議案では賛成を、取締役会の環境・社会委員会設立、原子力発電の段階的廃止については反対する傾向にあった。
【レポート】California Public Employees’ Retirement System CalPERS Approach to Addressing Climate Change Risk
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