日本経済団体連合会(経団連)は12月9日、二酸化炭素排出量削減に資する技術カタログを作成する構想「チャレンジ・ゼロ(チャレンジ・ネット・ゼロカーボン・イノベーション)」を発表した。参加企業を募り、経団連として、アクションを集約・整理する。
中西宏明・経団連会長は、記者会見の中で、「脱炭素社会の実現に向けて企業がチャレンジするイノベーションを国内外に力強くアピールしていく取り組みを開始する」「参加企業がイノベーションにチャレンジすることを宣言し、具体的なアクションを発表する。水素、再生エネルギー、省エネなどあらゆる選択肢が対象となる」と表明。水素エネルギーやCCUS(炭素回収・活用・貯蔵)が中心になるとみられる。
今回の構想は、12月の気候変動枠組条約第25回マドリード会議(COP25)のサイドイベントで発表し、その後、チャレンジへの参加企業を募るとした。参加企業からのアクションを束ね、2020年5月から7月頃に対外的に発表する計画。参加企業には、「ネット・ゼロカーボン技術(含、トランジション技術)のイノベーション」「ネット・ゼロカーボン技術の積極的な実装・普及」「上記に取り組む企業への積極的な投融資」のいずれかを宣言する必要があるが、カーボンニュートラルまでのロードマップや、削減目標設定は求めていない。
今回の構想は、経団連として「カーボンニュートラル」までのロードマップを示したものにはなっていない。国際的に、日本企業のカーボンニュートラルへの意欲やアクションが不足していると見られる中、経団連としてなんとか国際的にPRをしようと躍起になっている。
経団連は、COP25開幕前の11月29日、二酸化炭素排出量削減に資する企業製品の事例紹介をまとめたレポート「グローバル・バリューチェーンを通じた削減貢献」の第2版を公表。企業単体だけでなく、バリューチェーン全体での排出削減が重要との考えを強調した。但し、内容は、バリューチェーン全体の削減アクションをまとめた内容ではなく、製品・サービス毎の削減効果を示しただけにとどまっていた。また、個別の削減効果をまとめただけで、昨今求められるカーボンニュートラル目標に対し十分な技術かどうかという評価もなかった。
国連環境計画(UNEP)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)を中心に、CCUS技術だけでカーボンニュートラルを実現する考え方には、否定的な見方も強い。水素エネルギーについても、日本ではCCUSに依存した形で「CO2ゼロ水素」を実現していこうという考えが根強い。本当に国際的な理解が得られるか。
【参照ページ】「チャレンジ・ゼロ」
【参照ページ】グローバル・バリューチェーンを通じた削減貢献
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