EU加盟国を含む欧州32カ国の銀行協会が参加する欧州銀行連盟(EBF)は12月9日、EUに対し、サステナブルファイナンス政策をさらに推進するための提言をまとめたレポートを発表した。銀行がサステナブル投融資を増やすための課題として、市場競争力のある投融資先が不足していることや、識別が難しいことを指摘。制度的に、案件組成をサポートすることが肝要との見方を示した。
今回のレポートでは、パリ協定や国連持続可能な開発目標(SDGs)での目標を達成するためには、世界で数兆ユーロの投資が必要となり、欧州だけでも毎年1,800億ユーロ(約20兆円)のファイナンスが必要となっていると指摘。欧州の主要銀行が大きく主導する形で、国連責任銀行原則(PRB)が発足したことにも触れた。一方で、投融資先候補となる市場競争力のある製品やプロジェクト、またそれらを識別が難しいことが、銀行にとっての大きな障壁となっていると言及した。
今回のレポートでは、提言として、「サステナブルファイナンス保証ファンド」「グリーン・サポーティング・ファクター」「グリーンローン証券化フレームワーク」「サステナブルファイナンス支援ファクター」「担保の優遇措置」「カーボンプライシング(炭素価格制度)」の5つを提言した。
サステナブルファイナンス保証ファンドでは、推奨される案件に対する信用保証を付与する公的ファンドの組成を求めている。特定案件の信用保証の例としては、欧州投資銀行(EIB)の欧州投資ファンド(EIF)や欧州戦略投資基金(EFSI)を挙げ、民間銀行の融資リスクを減らすために公的な信用保証を提供することで、必要分野への融資を加速できるとした。
グリーン・サポーティング・ファクターは、EUの自己資本要求規則(CRR)上での自己資本計算における優遇係数。EUタクソノミーに該当する案件に対する案件に対し、優遇係数を設定することを勧めた。
グリーンローン証券化では、グリーンボンド等のグリーン性を担保するためのセカンドオピニオン取得等に関する費用助成や、グリーン性資産を担保資産とするカーバードボンドでの金融監督上の優遇措置等を求めた。また、証券化では、EUがルール化しているSTS(シンプル・透明・標準化)証券ラベルを、グリーンローン証券に適用する場合の法規制の明確化も要請した。
【参照ページ】EBF presents proposals to scale up sustainable finance
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