欧州銀行監督機構(EBA)は12月6日、サステナブルファイナンスに関するアクションプランを発表した。EUのサステナブルファイナンス・アクションプランを後押しするため、EBAとしてのアクション及びタイムラインを策定。銀行に対してESG考慮を求めていく方向性を明確にした。
EBAは、各国政府や社会が気候変動対応を進めるほど、金融市場のESGファクターとの関連性が生じてくると指摘。気候変動の物理的リスクと移行リスクを把握するために、銀行はESGリスクを測定、モニタリングすることが重要になっていると述べた。また、物理的リスクと移行リスクの兆候は明確ではないからこそ、銀行に対し、事業戦略の中にESGを組込み、グリーンアセット・レシオ等のシンプルな指標も含め、ESGリスクを測定、モニタリングする必要があると言及した。
EBAのアクションプランでは、まず第1弾として、銀行が信用リスク等のリスクマネジメント・ポリシーにESGを入れることを義務化する監督ガイドラインを策定する。また、同ガイドラインの中ではグリーン融資に関するポリシーを策定することを推奨する。銀行が、ESGリスクを考慮しやすくするため、ESGリスクについての統一定義や、ESGリスクによるインパクトを理解するための基準や手法も開発していく。2020年の第2四半期から第3四半期に最初のディスカッション・ペーパーを発表し、幅広いステークホルダーからフィードバックを得た上で、2021年6月に最終報告書を発表する。
さらに第1弾では、銀行の情報開示も強化する。銀行がESGを考慮したことを示す指標のテクニカル基準を、2020年6月にEBAから欧州委員会に提出。指標開示の義務化は、EU非財務状開示指令(NFR)、EUタクソノミーや、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の要件等を盛り込む考え。2021年に最終決定し、2022年6月からの施行を目指す。
第2弾は、気候変動ストレステストとシナリオ分析の実施。2020年後半に、通常のリスクアセスメントの一環として、気候変動リスクに対する感応度分析を試験運用するため、自主的に試験実施したい銀行を募る。ストレステストでは長期の移行リスクを診断する。試験運用をもとに、銀行の脆弱性を測るための手法を開発していく考え。同時に、銀行が実施する社内ストレステストのためのガイダンスも策定していく。
第3弾は、金融システムの安定を目的とする「プルーデンス政策」へのESGリスクの反映。こちらもディスカッション・ペーパーを発表し、フィードバックを得る形で進めていく。最終報告書は2025年6月に設定した。
EBAは、これらの施策を法制化するため、EBA規則、自己資本要求規則(CRR)、自己資本要求指令(CRD)を改訂し、新たに投資会社規則(IFR)、投資会社指令(IFD)等を立法していくとした。
【参照ページ】EBA pushes for early action on sustainable finance
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