欧州機関投資家29機関が今年1月、4大監査法人EY、デロイト、KPMG、PwCに対し、気候変動が会計監査において度外視されていることの懸念を示した共同書簡を送付していたことが、明らかとなった。英紙ロイターが11月28日、報じた。気候変動リスクは対応を誤ると金融危機以上の損害をもたらすとして、迅速な対応を求めている。
共同書簡に参加したのは、英環境庁年金基金、英国国教会コミッショナー、英国国教会年金理事会、ハーミーズEOS/ハーミーズ・インベストメント・マネジメント、NNインベストメント・パートナーズ、ニュートン・インベストメント・マネジメント、ブルネル・ペンション・パートナーズ、エイゴン・アセット・マネジメント、Sarasin & Partners、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、リーズ大学等。29機関の運用資産総額は1兆ポンド(約141兆円)。
共同書簡は、各国政府が気候変動緩和に向け、2015年にパリ協定を締結したにも関わらず、同監査法人らは、監査の中で気候変動リスクを無視していると指摘。監査法人は、低炭素社会に向け、可能な迅速な移行に重きを置くべきとし、気候変動金融危機を防ぐ対応が不十分と批判した。共同書簡の中で、原油・ガス大手の監査委員会に対しても、気候変動リスクへの強固な取り組みを求めた書簡を提出することを決定したと伝えた。
ロイターは、IASB(国際会計基準審議会)のニック・アンダーソン理事が11月27日、IFRS(国際会計基準)と気候変動リスクの関係性について言及したコメントも紹介。IFRSでは、経営陣に対し、環境や社会課題が財務諸表の主要読者にとって必要と判断される程度において報告することを期待しており、気候変動リスクが現前でないとしても、IFRSでは報告を求めているとした。
ロイターは、4大監査法人各社のコメントも紹介した。
EY
監査の専門家が、進化を続ける投資家や企業、公共の利益の需要に応えられるよう、コミットすると回答した。
デロイト
同社広報担当は、気候変動がクライアントに甚大なリスクとなることを認識しており、今年、すべての監査人に気候変動ファクターをどのように組み込むかに関する研修を実施したと回答した。
また同社は、ステークホルダーへのエンゲージメントに加え、気候変動ウェブサイトの立ち上げや、英国公認会計士協会(ICAEW)との協働による同協会員、財務専門家、社外取締役の教育プログラムの立ち上げを行った。
KPMG、PwC
同社からの回答は無かった。
【参照ページ】EXCLUSIVE-Big four auditors face investor calls for tougher climate scrutiny
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