ドイツ連邦参議院(上院)は11月29日、ドイツ政府が提出した「気候保護法案パッケージ」を一部修正した上で可決した。ドイツ連邦議会(下院)はすでに11月15日に可決済み。同法案は、2050年までにドイツの二酸化炭素ネット排出量をゼロにすることを目指し、2030年までに各業界の二酸化炭素排出量を1990年比55%削減をする義務を各省庁に課したもの。今後、上下院での合意協議に入る。
ドイツ政府の現行目標は、2050年までに二酸化炭素排出量を80%から95%削減。10月、連携与党を構成するキリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)は9月、気候変動政策パッケージ案を公表。その中で、気候保護法の制定についても両党で合意していた。同政策案は、10月9日にドイツ連邦政府で閣議決定。そして今回、上下院で可決されたことで、ドイツの公式目標は、2050年までにカーボンニュートラルに引き上げられた。
気候保護法案パッケージは、単一の法案ではなく、複数の法案を束ねたもの。気候保護法案では、各業界での2020年から2030年までの二酸化炭素排出削減義務を定めた。また、別の法案では、運輸・交通業界と不動産業界にも、カーボンプライシング(炭素価格)制度を導入することを規定した。炭素価格の初期価格は、二酸化炭素排出量1t当たり10ユーロに設定された。価格については、環境NGOグリーンピースから「安すぎる」との批判がすでに上がっている。EU加盟国は、すでに二酸化炭素排出量の多い特定業界を対象にカーボンプライシング制度が導入されているが、今回はそれに追加する形でドイツ独自のカーボンプライシング制度を導入する。
下院は先に、政府原案をほぼ維持した状態で可決したのに対し、各州の代表で構成する上院は、長距離列車や住宅省エネ改修に対する州税減税について連邦政府から州政府への財政支援に関する条項を変更した。上院は、カーボンプライシング導入により連邦政府が新たな財源を得るのに対し、州政府は負担増しかないと不公平感を感じている。一方、上院も、気候保護法案、カーボンプライシング導入、航空税導入については下院と同じく合意し、実質的に成立する見通しとなった。
上下院は、12月後半までに同法案パッケージを成立させたい考え。
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