EUの欧州投資銀行(EIB)理事会は11月14日、2021年末から化石燃料エネルギーに対する融資を禁止するエネルギー融資ポリシーを採択した。パリ協定との整合性を考慮し、エネルギー分野では、再生可能エネルギー、省エネ、クリーンエネルギー・イノベーションの分野に完全に舵を切る。また2020年から2030年までに気候変動を含む環境サステナビリティ分野に1兆ユーロ(約120兆円)をファイナンスする目標も設定した。
EUでは11月8日、EU加盟国の財相・経済相が集うEU経済財務相理事会(ECOFIN)の定例会議で、「気候ファイナンス」をアジェンダの一つとし、国際開発金融機関(MDB)に対し、化石燃料関連プロジェクトへのファイナンスを段階的に廃止することを促すことで合意していた。今回加盟国代表者で構成するEIB理事会は、それを受け、今回の決定を下した。
【参考】【EU】経済財務相理事会、国際開発金融機関に化石燃料ファイナンスの段階廃止を要請。特に石炭(2019年11月11日)
EU財務相はこの日、EIBや世界銀行など世界的な金融機関に対し「化石燃料事業への融資を段階的にやめる」ように提案したが、政治宣言はEU加盟国の代表者から成るEIB理事会で正式に承認される必要がある。
今回のエネルギー融資ポリシーの骨子は、5つの原則で構成。EU省エネ指令の目標達成のため省エネを優先するとともに、エネルギーに占める再生可能エネルギー割合を2030年までに32%にまで高めるための再生可能エネルギー投資や、バッテリーやEV向けのイノベーションも加速する。また再生可能エネルギーを増産できるようにするための送電網強化や、EU域外でのエネルギー変革を支援するためのファイナンスも実施していく。
一方、今回ファイナンスを禁止する化石燃料にはガスも含まれる。また、発電所への融資基準も、二酸化炭素排出量550g/kWhから250g/kWhへ厳格化。以前の基準でも高効率を含めた石炭火力発電所は融資禁止対象となっていた。
世界銀行も2017年12月、原油及びガスの探鉱、開発、生産までの上流事業への投融資を2019年から停止している。
【参考】【国際】世界銀行グループ、石油ガスの採掘・生産に対する投融資を2019年から停止(2017年12月21日)
【参照ページ】EU Bank launches ambitious new climate strategy and Energy Lending Policy
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