金融世界大手米モルガン・スタンレーは10月24日、2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロを達成するには、脱炭素技術の主要5分野に対し50兆米ドル(約5443兆円)の投資が必要だとするレポートを発表した。米金融情報大手ブルームバーグが10月24日、報じた。
同社は、化石燃料による二酸化炭素排出量は昨年、過去最高量を記録。気候変動に対応できず、2℃以上の気温上昇を引き起こした場合、2100年までに世界のGDPは10兆から20兆米ドル規模の損失を招くと試算。また同社は主要5分野について、必要となる投資内容と金額予測を示し、追い風となる企業も紹介した。
再生可能エネルギー
再生可能エネルギーは、2050年までに世界の電力の約80%を担うようになり、現在の37%から大きく増加。14兆米ドルの投資が必要となる。特に太陽光は、価格が手頃になれば、最も急速に成長する可能性がある。同分野の技術を有する企業には、サンパワー、GE、華能新能源(Huaeng Renewables)等がある。
電気自動車(EV)
自動車による二酸化炭素排出量の重要性は、これまで以上に高まり、2050年までにEV台数は9億5,000万台に達すると見込まれる。EV製造に係る工場の建設や、EV切り替えに必要となるバッテリーとインフラを開発するには11兆米ドル必要になると予測した。同分野を専業とする企業はテスラのみだが、技術を有する企業としては、フォルクスワーゲンやトヨタ自動車、パナソニック、アルベマール等がある。
炭素回収・貯留(CCS)
モルガン・スタンレーは、石炭火力発電所からの排出量削減にはCCSの導入が唯一の実行可能な選択肢であると考えており、約2.5兆米ドルの投資が必要とした。CCS技術を有する企業には、Bloom Energy、エクソンモービル、シェブロン、BP等がある。
水素
水素は電力、自動車、その他の産業のクリーンな燃料として役立つ。水素ガス生成や発電所の設備容量の拡張、貯蔵電力の管理には約20兆米ドルの累積投資が必要となる。水素技術を有する企業としては、エア・リキード、シーメンス、アルストム等に注目が集まる。
バイオ燃料
エタノール等のバイオ燃料は、将来の世界的な輸送の鍵となる。最終的には航空機、その他の旅行形態にも派生し、2050年までに2.7兆ドルの投資が必要となる。バイオ燃料分野では、ネスレ、Sao Martinho、シェル、バレロ・エナジー等が良いポジショニングに成功している。
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