英クランフィールド大学のローレンス・スミス講師率いる研究者チームは10月22日、オーガニック農法は食糧生産性を下げ、間接的に二酸化炭素排出量を21%増加させると分析した論文をNature Communications誌で発表した。
同論文は、英イングランドやウェールズでのオーガニック農法を分析。オーガニック農法そのものは、穀物当たりの二酸化炭素排出量を最大で20%、家畜当たりの二酸化炭素排出量を4%下げることができる。但し、現状の常食食品のままだと、オーガニック農法は従来型の農法に比べ、窒素供給が減るため、食糧の生産率が40%低下すると分析。同量の食糧生産を確保するためには、食糧輸入量が増え、海外でより多くの土地が必要となり、土地利用変化(LUC)で二酸化炭素排出量が大幅に増加するとまとめた。
オーガニック農法は、化学肥料を使わず、自然農法で作物を育てる農法。家畜の糞を活用し、栽培サイクルも長いことから、炭素の固定量が、化学肥料を使った場合よりも高くなる。但し、同論文によると、土壌の中に炭素を吸収させる炭素隔離率は、徐々にゼロに近づき、炭素固定量の増加は、オーガニック農法を導入した10年から20年しか期待できないとした。
今回の論文調査では、海外での農地拡大について、草地からの農地転換を約半分の仮定した。同論文による二酸化炭素排出量増加を防ぐためには、生産性を下げないオーガニック農法の開発や、森林を伐採しない農地拡大が必要となる。
【参照ページ】100% organic farming could increase greenhouse gas emissions
【論文】The greenhouse gas impacts of converting food production in England and Wales to organic methods
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