国際環境NGOカーボントラッカーは10月7日、CDPジャパン、東京大学未来ビジョン研究センターからの協力を得て、日本で現在計画中及び運転中の石炭火力発電所が座礁資産化するおそれがあるという分析結果をまとめた英語レポート「Land of the Rising and Offshore Wind」を発表した。
カーボントラッカーが均等化発電原価(LCOE)分析に基づいて比較したところ、陸上風力発電、洋上風力発電、大規模太陽光発電は各々、2025年、2022年、2023年に、石炭火力発電よりも安価になる。さらに、石炭火力の長期の限界削減コスト(LRMC)は、2025年には太陽光発電と洋上風力発電を上回り、2027年には陸上風力発電よりも高くなる結果となった。
石炭火力発電の現状は、設備利用率が74%、日本卸電力市場(JEPX)に基づく売電価格は87米ドル/MWh。今後、再生可能エネルギーの導入が進み、設備利用率が48%、または売電価格が72米ドル/MWh以下となれば、石炭火力発電所の事業性は失われると結論付けた。
同報告書はまた、気温上昇を2℃未満に抑えるためには、日本の石炭火力発電所は全て2030年までに閉鎖しなくてはならず、資本投資や運転によるキャッシュフローの減少による座礁資産リスクは、710億ドル(約7兆1000億円)と試算した。この710億米ドルのうち、少なくとも290億米ドルは、政府が速やかに計画中・建設中の発電所の計画を再検討し中止すれば、回避することができるとした。
今回の報告書作成では、環境NGOの気候ネットワーク、地球環境戦略研究機構(IGES)もレビューを実施した。
【参照ページ】【プレスリリース】石炭火力発電の座礁資産リスクは710億ドルに上る恐れ カーボントラッカーによる新報告書(2019/10/7)
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