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【国際】「カントリーESG評価は企業ESG評価に影響与える」サステイナリティクス分析

 ESG評価世界大手蘭Sustainalytics(サステイナリティクス)は9月26日、同社の国全体のカントリーESGリスク格付と、当該国で創業している企業のESG評価の関係に関する調査結果を発表した。同調査ではペルーのカントリーESGリスクに着目し、同国で操業する貴金属生産世界2位バリック・ゴールドに与える影響を分析。カントリーリスクが企業のESGリスクに影響を与えると結論づけた。

 同調査ではまず、ペルーは採掘資源量世界トップ10で、卑金属および貴金属の最大の生産国である点に着目。鉱業をペルーの経済成長に不可欠な存在と位置づけた。実際に2005年から2014年にかけ同国の一人当たり採掘額は約10倍に成長している。


(出所)World Bank, "The Changing Wealth of Nations 2018"

 サステナリティクスは、カントリーリスクとESGリスクのESG評価を活用し、同国のESG課題を抽出。バリック・ゴールドのラグナスノルテ鉱山操業への影響を分析。特に、「資源活用」「地域コミュニティとの関係性」「人的資本」の3つに着目した。

資源活用

 同国はカントリーESG評価において、水ストレスが世界33位と比較的高く、水生産性も世界105位と効率性で平均を下回っている。資源採掘において水は、鉱物処理、埃の抑制、加熱と冷却、鉱石と金属を分離する薬品の溶媒等の様々な用途で活用される。世界で最も注目される鉱山地域は高レベルの水不足に直面しており、ペルーも例外ではない。

 水資源枯渇の懸念から、資源採掘は地域コミュニティの反対に遭うことも多く、そうでなくとも規制当局は水不足のリスクが危惧される地域での水利用を許可しない場合がある。水不足に直面すると採掘企業は生産を削減せざるを得なくなるが、水資源の再利用は解決策の一つとなる。

 バリック・ゴールドについては、水リスクへのエクスポージャーは高いものの、同社は同業他社と比べ、水に関するリスクマネジメントに優れていると評価。同社は水ストレスの大きい地域で、84%の再利用水活用を宣言しており、2018年にはペルーの52世帯に飲料水を提供した。こうした取り組みの結果、同社の資源マネジメントのスコアは(79/100)と高く、企業全体の資源マネジメントリスクの抑制に成功している。

地域コミュニティとの関係性

(出所)Sustainalytics

 同国はカントリーESG評価において、政治的権利と法の支配が、世界66位、104位といずれも低く、国民の政治プロセスへの参加や公平な法制度へのアクセスが良いとは言えない。地域コミュニティは、鉱山の資源採掘による水と土壌汚染リスクを懸念しているが、同国政府は先住民コミュニティへの相談なく、採掘を推進。同国には、先住民コミュニティに直接影響を及ぼす場合、事前協議が必要との法律があるが守られていない。

 こうした背景から地域コミュニティと資源採掘の拡大方針は対立を深めており、地域コミュニティとの関係性に係るバリック・ゴールドのエクスポージャーは高い。しかし、同社は人類学に明るく、紛争調停を専門とするチームを活用することで、地域コミュニティとの紛争に対処する努力を続けている。

人的資本
 同国はカントリーESG評価において、人的資本の有効活用に関して世界72位と平均をわずかに上回る結果となった。ESGレーティングでは、水アクセスで120位、公衆衛生アクセス103位、大気汚染95位。

 一方、バリック・ゴールドは2016年にラグナスノルテ鉱山の人権評価を実施。2017年の人権報告書では、採掘企業の潜在的かつ間接的な影響が、児童労働や労働条件悪化、生活条件悪化に繋がると指摘した。同社は地域コミュニティの支援を通じて、児童労働を禁止する同国法へ準拠する様、鉱山労働者へ働きかけを行っている。こうした取り組みの結果、同社の労働条件方針、人材開発、人的資本管理はいずれも良好な評価を得ている。貴金属業界では5位、金業界に限っては3位に位置する。

 バリック・ゴールドは、個社としてESGリスクのマネジメントを実施しているものの、操業国ペルーのカントリーESG評価の影響を大きく受けている。そのため、ペルー政府は、事業地としての魅力を上げるためにも、カントリーESG評価を上げるメリットがあるという結論となった。

【参照ページ】The Impact of Country ESG Risks on Company Operations

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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