国際環境NGOの世界資源研究所(WRI)は9月23日、不動産からの二酸化炭素ネット排出量を2050年までにゼロするため、2019年の気候変動アクション・サミットの中で新たなイニシアチブ「Zero Carbon Buildings for All」を発足。4ヶ国政府の他、不動産・建設会社、金融機関等が多数加盟した。国連総会でも賛同を得た。
不動産からの二酸化炭素排出量は、世界の全排出量の約3分の1を占める。不動産の管理だけでも排出量の28%占め、最大の気候変動要因となっている。パリ協定の目標達成には不動産の二酸化炭素ネット排出量ゼロが必須であるが、現状実現できている不動産は1%に満たない。
同イニシアチブは国や地方自治体に対し、2030年までに新築不動産での二酸化炭素ネット排出量をゼロにし、2050年までに既存不動産でも排出量をゼロにするための政策実行を求めている。一方、国際開発金融機関(MDBs)や民間の金融機関に対しては、2030年までに気候変動対応のため途上国へ1兆米ドルを資金援助するパリ協定に沿う不動産投資や設備投資への準拠と、技術協力へのコミットメントを求めた。
同イニシアチブに加盟した政府は、ケニア、トルコ、アラブ首長国連邦、英国の4ヶ国。金融機関からは、国際金融公社(IFC)、アフリカ開発銀行(AfDB)、Investment Fund for Developing Countries(デンマーク)、欧州復興開発銀行(EBRD)。事業会社としては、ゲンスラー、ビューロハッポルド・エンジニアリング、Rockwool International、サンゴバン。また、同イニシアチブの運営では、GABC(Global Alliance for Buildings and Construction)、地球環境ファシリティ(GEF)、パシフィック・ノースウェスト・ナショナル・ラボラトリー、Program for Energy Efficiency in Buildings、アーバンランドインスティテュート、世界資源研究所(WRI)、世界グリーンビルディング評議会等のNGOも協力している。
WRIの研究結果からは、ゼロ・カーボン・ビルディングは、いずれの地域でも達成可能だとされる。その達成に向けた政策は、国や地方自治体の二酸化炭素排出量削減目標の一助となり、経済的・環境的便益をもたらすと分析。省エネに優れた不動産設計は、居住者や労働者の生活の質や健康、生産性の向上にも繋がるともした。
【参照ページ】RELEASE: WRI Joins Zero Carbon Buildings for All Initiative Launched at UN Climate Action Summit
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