欧米主要機関投資家が参加する低炭素経済推進イニシアチブ「Transition Pathway Initiative(TPI)」は9月18日、エネルギー業界の気候変動対応の遅れに懸念を示す報告書を発表した。調査にあたっては、BNPパリバ・アセット・マネジメント、アバディーン・スタンダード、リーガル&ジェネラル・インベストメント・マネジメント、Robeco等の運用会社が協力。エネルギー企業に苦言を呈した。
同イニシアチブは2017年1月発足。英国環境保護庁年金基金と英国国教会National Investing Bodiesが主導し、多くの機関投資家が参加。現在の運用資産総額は15兆米ドル(約1,600兆円)。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のグランサム研究所がバックアップしている。参加機関には、アリアンツ、ノルウェー銀行投資マネジメント部門(NBIM)、PGGM、UBS、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、USS、AP2、AP3、AP5、BNPパリバ・アセット・マネジメント、アバディーン・スタンダード、リーガル&ジェネラル・インベストメント・マネジメント、Robeco、AVIVA Investors、シュローダー等がある。
TPIは今回、石油・ガス企業50社と電力会社59社の二酸化炭素排出量の評価を実施。 石油・ガス企業大手の多くは、気候変動対応への取り組みを宣言しているいるだけで、実際にパリ協定に則した二酸化炭素排出量削減に取り組んでいるのは、ロイヤル・ダッチ・シェルとレプソルの2社のみとした。事実として、石油・天然ガス及び電力企業の22%は、気候変動をリスクとして認識しておらず、気候変動リスクのガバナンスに関して最も低いか下から2番目の格付けとなった。
一方で、EDFやE.ON、Exelon、Innogy、オーステッド、PG&Eのような電力会社は、既往変動を2℃未満に抑えるための取り組みを進めており、2030年までにほぼ排出量をゼロに抑えられるペース。
さらに同報告書では、上記等に石炭採掘大手も加えた135社について、気候変動リスクへのガバナンスを「マネジメント品質」として評価。石炭採掘会社の61%は最も基本的な指標である「気候変動をビジネス関連リスクとして明示的に認識する」すら満たしていなkった。さらに評価対象となったとなった企業のうち22%は最低ランク「レベル0」のマネジメント品質と評価された。内訳は石炭採掘14社、石油・ガス6社、電力会社9社となった。
日本の電力会社では、東京電力と関西電力、中部電力、東北電力が上から2つ目の「レベル3」。九州電力と四国電力は、電力会社62社の中で最も低い区分となった「レベル1」だった。
【参照ページ】Investors concerned by slow climate progress in energy sector; dragged down by coal, oil & gas
【レポート】Management Quality and Carbon Performance of Energy Companies: September 2019
【メソドロジー】Methodology and indicators report: Version 3.0
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