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【イギリス】政府、水素・低炭素技術へ約500億円投資。2050年までのCO2排出ゼロを後押し

 英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省は8月29日、産業の二酸化炭素排出量削減に向けて、水素および低炭素技術に対し3億9,000万ポンド(約498億円)を投資すると発表した。英国は、2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにすることを決めており、2030年までに200万人の雇用創出と年間1,700億ポンドの輸出を見込んでいる。

 投資額全体のうち4,000万ポンドは、水素燃料への転換を目指すイノベーションファンドに投資。二酸化炭素排出量削減に資する技術を英国全土に展開する方法を模索する。1億ポンドは、経済全体で使用する低炭素水素の供給拡大に活用され、企業の二酸化炭素排出量削減を支援する。残りの2億5,000万ポンドは、クリーン鉄鋼ファンドに投資され、現在、産業排出量の15%を占める鉄鋼業界を支援する予定。水素燃料の活用を含む低炭素化への移行を支援するとした。

 今回の投資では、水素燃料を活用し、持続可能なジン製造を目指すプロジェクト「HySpirits」も支援対象となる。同プロジェクトでは、スコットランド・オークニーにあるクラフトジン蒸留所と欧州海洋エネルギーセンターが連携。製造プロセスで活用する液体石油ガスを、同センターの風力や潮の満ち引きの技術を活用して生成された「グリーン水素」に転換する。これに成功すれば、工場からの二酸化炭素排出量は、10世帯または自動車18台の年間排出量に相当する、約86tもの二酸化炭素が削減されるという。

 その他にも、浮体式洋上風力発電を活用して水素を生成することを目的とした「ドルフィンプロジェクト」も実施予定。同プロジェクトでは、水を水素と酸素に電気分解する解槽をプラットフォームに取り付けて、水素を生成。1台の風力タービンだけでも、約2,500棟の家屋を暖房設備や、120から240台のバス燃料、8台から12台の列車車両を走らせるのに十分な低炭素水素を生成することが期待される。最近ではさらに9件の炭素回収計画に2600万ポンドを投資済み。案件の一つには、間もなく英国最大のCCUS(炭素回収・活用・貯蔵)プロジェクトとなるものもある。

 同国は、クリーン成長戦略の下で、産業界が化石燃料からバイオマス、水素、クリーンな電気などの低炭素燃料に切り替え始める必要性を強調。2030年以降、同国の目標を達成するには、低炭素燃料への切り替えを大幅に拡大する必要があるとした。現在、エネルギー利用量の大きい産業だけで、世界の二酸化炭素排出量の約24%、英国の排出量の約10%を占める。セメント、ガラス、電力、熱、輸送などの重工業の脱炭素化を行う上で、低炭素水素の活用は、重要な役割を果たす。

【参考】Hydrogen-powered distillery to produce sustainable gin

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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