絶滅危惧を扱うワシントン条約(CITES)締約国会議は8月22日、国際取引の規制対象となる動植物を記載した「附属書II」に、キリンを掲載することで初めて合意した。来週の本会議での採択を経て最終決定となる。同書への掲載は、キリン関連の取引を禁止するものではないが、初めて取引の追跡を可能とする。附属書IIへの掲載が決定された場合、キリンの革、骨、肉等の取引を行うには、生息国政府の許可が必要となる。
アフリカのサバンナの半乾燥地およびサバンナの森林部の範囲において、キリンが生息するのはサハラ砂漠南部のみで、6万8,000頭の野生の成体が発見されている。野生動植物の保全状況を評価する国際自然保護連合(IUCN)は近年、既に同種を「危急種(絶滅危惧II類)」に分類していた。
国際動物福祉NGOのHumane Society International(HSI)は、キリンが過去30年において36%から40%減少していることが注目されておらず、「静かな絶滅」に瀕していると懸念。同NGOによる米国の貿易データの調査結果によると、2006年から2015年の間に少なくとも33,000頭のキリン標本が商業輸入され、そのほぼ全てが野生種であったという。さらに、同NGOと米国人道協会(HSUS)が2018年に実施した調査では、キリン関連貿易が盛んに実施され、米国内の少なくともディーラー51社が、オンラインおよび店舗でキリン関連取引を行っていることを明らかにした。背景には、近年象牙の規制が強化されていることもあり、キリンは「ニュー・エキゾチック」と称され、象牙の代替として人気を博してしまっている。
同調査の中で、一部の小売業者は、「トロフィーハンター」からキリンを納入していると回答。トロフィーハンターとは、野生動物を狩猟し、動物やその身体の一部を記念に持ち帰る者のこと。米国の法律は、キリンの取引を禁止しておらず、米国のトロフィーハンターは、平均して1日に複数のキリンをアメリカに輸入しているという。
【参照ページ】CITES protects giraffe for the first time
【参照ページ】Undercover investigation exposes shocking, unregulated market for giraffe parts across the United States despite steep population declines
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