年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月19日、米環境情報データ提供Trucostに委託していた気候関連情報の開示支援結果の概要を公表した。そのうちの一部は、同日に発表された「2018年度ESG活動報告」の中にも掲載された。
【参考】【日本】GPIF、2018年度ESG活動報告を発行。ESGインデックスのリターンや投資先企業の改善度示す(2019年8月20日)
今回Trucostが委託実施した定量評価は全部で6種類。まず、投資先企業の気候変動に関する過去のインパクト測定として「カーボン・フットプリント指標」「カーボン・ディスクロージャー指標」「化石燃料及び座礁資産エクスポージャー指標」の3つを開示した。
また、将来観点でのシナリオ分析として、「2℃目標への整合:エネルギー移行」「2℃目標への整合:温室効果ガス移行経路評価」「カーボン・アーニング・アット・リスク」の3つを開示した。エネルギー移行の観点では、「国内株式ポートフォリオと国内債券ポートフォリオの中では、全エネルギー売上高のほぼ90%を化石燃料セクターに依存していることがわかります。残りの約10%は再生可能エネルギーによるものです。外国株式ポートフォリオと外国債券ポートフォリオの場合、化石燃料セクターが約60%、再生可能エネルギー・セクターが20%となっています」とし、全体及び特に国内で再生可能エネルギーへの推進割合が少ないことが明らかとなった。さらに、2℃目標との整合性では、全体として3℃以上上昇する結果となり、整合性が実現できていなかった。
GPIFは、今回の結果が、委託先のTrucostが分析した内容であることを踏まえ、「当報告書に掲載されている定量分析の結果は、必ずしも GPIF の見解を反映しているものではありません」としているが、第三者評価を踏まえ、「GPIFは気候関連情報をはじめとしたESG情報の開示を促進していくことで、市場全体の持続可能性向上に努めて参ります」と綴った。
Trucostが実施した委託分析の詳細については公表されていない。
【参照ページ】「GPIFポートフォリオの気候変動リスク分析TCFD開示にむけたTrucostによる定量分析結果(概要)」を掲載しました
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