中国金融情報大手の万得信息技術(Wind)は、2019年上期で石炭関連プロジェクト合計13件を資金使途とするグリーンボンドが総額74億人民元(約1,100億円)発行されたと発表した。案件には、石炭火力発電、炭層メタン(コールベッドメタン)、石炭化学等が含まれる。
中国では、脱石炭政策を大きく掲げており、石炭火力発電の伸び率は鈍化してきているが、エネルギー需要全体が伸びているため、発電設備容量は増え続けている。また、既存の石炭関連設備のアップデートにも資金が必要となっている。
石炭関連プロジェクトを資金使途とするグリーンボンド発行は、気候債券イニシアチブ(CBI)等の国際基準では認められていないが、中国では一部容認されている。中国国内でも最近、石炭関連を資金使途から外す検討がなされたが、最終的に国家発展改革委員会が反対し却下された。同委員会の背景には、炭層メタンや石炭化学、また石炭火力発電の高効率化のために多額の資金需要が発生するとみたためだという。
中国でも、短期的な資金需要やエネルギー需要の観点から、脱石炭が推進しきれずにいる。一方、気候変動関係者からは、中国でも二酸化炭素排出量削減への警鐘が上がっており、今後の政策動向に注目が集まる。
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