国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は8月5日、国連ミャンマー事実調査団がまとめたミャンマー軍の収益構造や関係企業に関するレポートを公表。同軍へ収益をもたらすことは、同国にはびこる人権侵害を助長するとして、同軍の影響下にある企業との取引断絶を国際社会へ呼びかけた。特に、軍部が経営する企業「Tatmadaw」に対する取引停止や政府制裁を求めた。
今回のレポートは、ミャンマー軍がロヒンギャに対する非人道的な作戦に関する詳細を初めて明らかにしたもの。同軍は2017年8月にロヒンギャ掃討作戦を開始したが、その際に総額1000万米ドルもの資金を調達した方法や、献金を行った45の組織と企業リストも報告されている。
同レポートは、ミャンマー軍のミン・アウン・フライン最高司令官とソー・ウィン計画財務相の影響下にあり、最も透明性の低いとされる2大企業Myanmar Economic Holdings Limited(MEHL)およびMyanmar Economic Corporation(MEC)にも言及。さらに、外国企業15社以上がミャンマー軍と合弁企業を設立していることや、その他44社も何らかの形で商業的関係を持っていることも明らかにした。7ヵ国14社以上が、2016年同軍に対し武器を販売していることも問題視した。
OHCHRは、安全保障理事会および加盟国に対して、同軍に対する早急な制裁と武器輸出の禁止を呼びかけると共に、企業においても人権保護に向けて具体的な行動を起こす責任を強調。同軍への収益貢献は、国際人権法や人道法に抵触するリスクを孕むと警鐘を鳴らし、ミャンマーとの商取引のあるすべての企業に対して、取引先企業のデューデリジェンスの実施を求めた。
【参照ページ】UN Fact-Finding Mission on Myanmar exposes military business ties, calls for targeted sanctions and arms embargoes
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