国連食糧農業機関(FAO)は6月21日、各国の政府関係者向けに、コミュニティ林業の状況評価のためのフレームワーク文書を2つ発表した。過去40年間、各国でコミュニティ林業への取組が広がる中、FAOは現状のコミュニティ林業や持てるポテンシャルを十分発揮できていないとし、今回フレームワークを提示した。
コミュニティ林業とは、地域社会が主体となって実施する林業のことで、近年地域社会の貧困対策や生態系保護に寄与するとして注目されている。森林の所有権を地域社会に返還したり、国有林から小規模林業事業者に所有権を移転したりされている。背景には、環境NGOや先住民族の訴えがあった。これにより、気候変動、地域社会のレジリエンス、経済成長、森林の持続可能なマネジメント等に活かされることが期待されている。
今回発表した文書は、「コミュニティ林業の有効性評価フレームワーク」と「林業と地域生活向上のための森林保有権ガバナンス評価」の2つ。
FAOは同日、アジア太平洋地域で急速な森林破壊が行われていることにも危機感を表明。原生林がわずか19%にまで減少し、その19%も深刻な危機に直面していると対策を求めた。背景として、人口増加、都市化、木材製品の需要増を挙げた。FAOは、現状と対策をまとめたレポート「Forest Futures – Sustainable pathways for forests, landscapes and people in the Asia-Pacific region」を公表。経済と森林破壊にはトレードオフの関係があるとしつつも、関係者が協働してシナジーを追求することで、森林破壊は緩和できると主張した。
【参照ページ】New tools to assess, expand and empower community-based forestry launched at Asia Pacific Forestry Week
【参照ページ】Robust and coordinated action needed to save Asia-Pacific’s forests – new UN FAO report
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