英コラーキャピタルのジェレミー・コラー創業者が2015年に発足した機関投資家の畜産業関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は7月24日、食品小売・メーカー世界大手25社の低炭素たんぱく質生産への移行リスク対応ランキング「FAIRR’s Sustainable Proteins Engagement」の2019年結果を公表した。
FAIRRには現在、英AVIVA Investors、シュローダー、エイゴン・アセット・マネジメント、ボストンコモン・アセット・マネジメント、カルバート、ハーミーズ・インベストメント・マネジメント、Impax Asset Management、Robeco、トリリウム・アセット・マネジメント、トリオドス・インベストメント・マネジメント等74機関、運用資産総額5.3兆米ドル(約570兆円)が加盟している。
畜産業界は、飼料生産と畜産場経営の双方で気候変動緩和と気候変動適応の両面からの大きな影響を受けると予想されている。世界が低炭素経済へと向かう中、特に牛肉を始めとした食肉生産や乳製品生産は、大きな対応が迫られると言われている。今回のランキングでは、マテリアリティ、スコープ3の二酸化炭素排出量と削減目標、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が示すシナリオ分析、たんぱく源多様化への対応、代替たんぱく源へのアクション等を評価対象とした。
今回対象となった企業は、小売企業では、ウォルマート、コストコ、クローガー、アマゾン、テスコ、マークス&スペンサー、セインズベリー、モリソンズ、ロブロー、オカド、カルフール、カジノグループ、アホールド・デレーズ、ICA、ウールワース・グループ、コールズ。メーカーでは、ゼネラル・ミルズ、ユニリーバ、ネスレ、ハーシー、モンデリーズ、クラフト・ハインツ、コナグラ・フーズ、ケリー・グループ、サプトの25社。
25社のうち、首位はユニリーバ。FAIRRが「パイオニア」レベルと位置づける73点以上の企業はなかったが、ユニリーバと同じ次の「プロアクティブ」レベルに入ったのは、テスコ、ネスレ、マークス&スペンサー、コナグラ・フーズ。一方、コストコ、サプト、アマゾン、ハーシーの4社は、最も下位の「リアクティブ」レベルとされた。
FAIRRによると、豆乳等植物性たんぱく質製品をはじめとした「代替たんぱく質製品」の市場は、すでに肉・乳製品の世界市場全体の10%を占めるまでに成長。さらに今後15年以内に、現在の市場規模195億米ドルから1,000億米ドルへと急成長するという。今回の調査でも、対象となった25社のうち23社がたんぱく源の多様化に向けたアクションを取り始めていた。また、「植物性」や「ビーガン(Vegan)」という言葉を、アニュアルレポートの中で使った企業も64%あった。
たんぱく質サプライチェーンに特化したリスクアセスメントを実施している企業も、マークス&スペンサー、コナグラ・フーズ、ゼネラル・ミルズ、カジノ・グループの4社。セインズベリー、テスコ、クローガー、ウールワースの4社は、通常の肉・乳製品商品棚のすぐ横に植物性等の代替たんぱく質製品を陳列するトライアルを始めていた。
【参照ページ】New report reveals which food giants are “seizing the moment,” as alternative protein boom
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