北アリゾナ大学の生態系科学社会センターの研究チームは7月4日、永久凍土が溶解した際に大気中に放出される二酸化炭素量は、従来気候学者が予想したよりも遥かに大きくなることを発見した。7月2日に、Nature Geoscience誌で発表した。気候変動による気温上昇が、永久凍土を溶解させると、加速度的に気候変動が大きくなっていくシナリオが見えてきた。
永久凍土とは、一年中溶けずつに凍結したままの土壌のこと。北半球では大陸面積の20%も占めている。永久凍土は、炭素を多く吸収した状態で凍結しており、溶解すると二酸化炭素排出等の温室効果ガスを放出することが知られている。しかし、土壌密度の変化等を測定することは難しく、これまで永久凍土の溶解による二酸化炭素放出量は定かではなかった。
そこで今回、同研究チームは、永久凍土が内部に溜め込んでいる灰成分に着目。溶解前と溶解後の灰成分の変化を測定した。5年間の変化を分析した結果、年間で5%の二酸化炭素が大気中に放出されているという結果となった。
今回の結果踏まえると、2100年までに世界の永久凍土が含有している二酸化炭素のうち5%から15%が放出されることとなる。しかし同研究チームは、加速度的な気候変動が起こることに鑑み、放出速度は当初予定していたよりも2倍以上となりうると見通した。
【参照ページ】NAU scientists find carbon from thawing permafrost is released into the atmosphere at higher rates than previously thought
【論文】Direct observation of permafrost degradation and rapid soil carbon loss in tundra
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