世界経済フォーラム(WEF)は6月20日、ナイジェリア政府、地球環境ファシリティ(GEF)、国連環境計画(UNEP)の3者がナイジェリアで電子機器のサーキュラーエコノミーを推進するイニシアチブを発足したと発表した。有害物質の危険に晒されている同国の非公式リサイクル事業を、合法的な正当なものに転換し、数千人にディーセント・ワークを提供していく考え。
ナイジェリアでは、毎年29万tの電子廃棄物が発生しており、2009年比では170%増加した。そのうち多くは、EU加盟国から廃棄物として輸出されているもの。2017年の国際電気通信連合(ITU)等の調査によると、輸出元はドイツ20%、英国19.5%、ベルギー9.4%、オランダ8.2%、スペイン7.4%、アイルランド6.2%とEUが大半を占める。他にも中国と米国からも7.3%ずつ輸出されている。輸出の形態は、各国の港からRO-RO船やコンテナ船に積載され、ナイジェリアの首都ラゴスの2つの港で陸揚げされている。また隣国を経由して陸上輸送されているものもある。
国際労働機関(ILO)によると、ナイジェリアでは、約10万人が電子廃棄物リサイクルに従事しているが、労働環境が良くない。リサイクル価値があるものを回収した残りは、埋立や焼却されており、重金属や、ダイオキシン、フラン、難燃剤等の有害化学物質が大気、河川、土壌を汚染しており、従事者だけでなく周辺社会の環境にも悪影響を及ぼしている。例えば、臭化プラスチックは5.2万t、鉛4000t、カドミウム80t、水銀0.3tが毎年発生している。
一方で、電子廃棄物は高価な資源も含んでおり、金だけでも金床の100倍の量が電子廃棄物に眠っている。他にも、プラチナ、コバルト、レアアース等の有価資源を回収することが有望な事業になるとみられている。
今回のイニシアチブは、ナイジェリアの環境基準規制庁(NESREA)が主導し、政府、企業、NGO等が参加する形で実施。予算規模は1,500万米ドル(約16億円)。環境保護及び労働安全衛生を担保する形で電子廃棄物リサイクルを導入する。まず残留性有機汚染物質で汚染された電子廃棄物270t以上と水銀を含む電子廃棄物30tを回収、処理、解体する。
世界経済フォーラムは、電子廃棄物のサーキュラーエコノミー化を目指す「Platform for Accelerating the Circular Economy(PACE)」を実施しており、今回の活動もその一環。
【参照ページ】Nigeria turns the tide on electronic waste
【参照ページ】Nigeria’s 300,000 tonne e-waste gold mine drives a new circular economy
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