金融安定理事会(FSB)は6月5日、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が第2回の進捗報告書「2019 Status Report」を公表したと発表した。同報告書は、TCFDの活動内容の報告とともに、TCFD最終提言書に基づく情報開示の進展具合についても分析。2018年の企業報告においては、残念ながら質の面で大きな改善が必要とした。
【参考】【国際】TCFD、2017年度の企業報告結果を分析。開示取組は始まったが、質に課題あり(2018年10月1日)
同時点で、TCFDの賛同機関は785。賛同している金融機関の運用資産総額は118兆米ドル(約1.2京円)に達する。
今回の報告では、2016年にTCFD最終提言書が出て以降、TCFD最終提言書に基づく情報開示は進展してきているものの、まだ投資家が求めている財務インパクトがわかるレベルに達していないと指摘。財務インパクトが明確になる情報開示をしなければ、開示情報は投資家が使わないものになってしまうと警鐘を鳴らした。加えて、気候変動リスクは事業活動にとって「マテリアル(重要)」と捉え、シナリオ分析もしていると回答した企業が、賛同機関の60%に達したのに対し、実際に既存事業のレジリエンス(強靭さ)を評価結果を開示していないと、賛同機関の現状に不満も吐露した。
TCFDは、気候変動によるリスクと機会の把握やシナリオ分析を社内でまず実施している企業があることにも理解を示した。それらの企業に対しては、社内である程度内容が固まってきたら、情報開示することが重要とした。
また、シナリオ分析の手法について苦労している賛同機関が多いことにも理解を示し、今後TCFDとしても、TCFD最終提言書と同時に発行した補足文書の解説書の発行や、シナリオ分析の実施ガイダンス(指南書)の策定、シナリオ分析のための各セクターに関連するシナリオの提供等を実施するとした。
【参照ページ】TCFD report finds encouraging progress on climate-related financial disclosure, but also need for further progress to consider financial risks
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