エネルギー世界大手米エクソンモービルは5月29日、株主総会を実施。取締役議長とCEOを分離する株主提案に対する議決権行使で、40.8%の株主が賛成した。過半数には届かなかったものの、非常に多くの投資家の賛同を集めたことで、エクソンモービルの経営陣に対する大きな牽制になったと賛成した株主側は判断している模様。
エクソンモービルに対しては、株主側は当初、気候変動に関する情報開示を経営陣に要求する株主提案を提出。英国国教会コミッショナーやニューヨーク州退職年金基金が主導し、機関投資家グループ「Climate Action 100+」も加わり、大きなうねりとなっていた。しかし、経営陣側が、米証券取引委員会(SEC)に手続き申請し、株主総会での決議事項から外すことに成功していた。
今回の取締役会議長・CEO分離の株主提案は、気候変動株主提案を封じ込めた取締役会の判断を問題視し、Climate Action 100+に加わる機関投資家らが起こした。40%以上の賛成を集めたことで、エクソンモービルに対し、再び気候変動対策を再び強く求めていく方針。
今回の株主総会では、ニューヨーク市退職年金基金からも、取締役会構成に関する別の株主提案が提出。長期的な戦略やリスクマネジメント能力を高めるため、取締役会のジェンダー、エスニシティ、専門スキルのダイバーシティを求めたこちらの提案にも29.8%の賛成が集まった。
他にも、ESG投資推進NGOのAs You Sowが提出した、石油化学サプライチェーンによる公共衛生リスクに関する報告を要求する提案に25%、宗教系のユニテリアン・ユニヴァーサリスト協会が提出した政治献金の情報開示を要求する提案に26.1%、全米鉄鋼労組提出のロビー活動を幅広いステークホルダーの関心に即すよう求める提案に37.3%が賛成した。さらに、取締役会に気候変動委員会を設けるArjuna Capitalの提案にも7.4%が賛成した。
【参考】【国際】PRI代表、エクソンモービルの消極的な気候変動対応を批判。ガバナンスにも懸念表明(2019年5月20日)
【参考】【アメリカ】SEC、エクソンモービル株主の気候変動提案を却下。PRIらエンゲージメント続ける(2019年4月8日)
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