オランダ最高裁判所は4月19日、長年に渡って続いているエクアドル政府とエネルギー大手シェブロンの裁判闘争事案について、国際法に基づきハーグ常設仲裁裁判所(PCA)が下したシェブロン勝訴を不服としエクアドル政府が起こした提訴を棄却し、シェブロン側が勝訴した。
今回の一連の係争は、現在シェブロン子会社のTexPetが、かつてエクアドルのアマゾン熱帯雨林地域の先住民土地に有害原油廃棄物数十億ガロンを意図的に廃棄し、先住民側の損害を与えたというもの。複数の国で訴訟が起こされ、エクアドルでは最高裁判所が先住民側勝訴としたが、2018年9月、シェブロン側を原告とするハーグ常設仲裁裁判所は、TexPetによる原状回復作業は完了しており、さらに事件後の2001年に同社の一部株式を取得したシェブロンには事件に関する責任はなく、さらに事件は和解で解決していると判断。エクアドルでの判決も無効とした。その上で、エクアドルでの裁判所は腐敗しているという被告の主張も認め、エクアドル政府に対し、エクアドル国内及び国外での裁判闘争を終わらせるためのあらゆる手段を講じるよう命じた。
【参考】【エクアドル】ハーグ常設仲裁裁、エクアドル最高裁によるシェブロンへの罰金判決は国際法違反と判決(2018年9月13日)
その後、エクアドル政府は、ハーグ常設仲裁裁判所の判決を不服とし、ハーグのあるオランダの下級裁判所に提訴。一審、二審で提訴を棄却され、今回の最高裁判所での上告審でも同様に棄却された。理由としては、ハーグ常設仲裁裁判所での判決を支持し、オランダの裁判所で扱う正当な理由を認めなかった。すでに、米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、ジブラルタルの裁判所でもシェブロン側が勝訴している。
先住民側は、エクアドルの裁判所では勝訴したものの、判決によるシェブロンへの賠償支払金額が大きいため、賠償命令を執行させるためには、エクアドル以外でのシェブロン資産に対して執行するしかない。しかし、エクアドル国外での裁判所は、エクアドル裁判所の判決の有効性を認めないため、エクアドル裁判所の判決が財務観点からは効果を持たない状態となっている。
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