日本、韓国、台湾の3カ国政府は19日、「ウナギの国際的資源保護・管理に係る非公式協議」の第12回会合を開催。絶滅危惧の可能性のあるニホンウナギの資源管理を議論したが、5年連続で中国政府が欠席したため、ニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の池入数量上限の引下げができないまま会議を終了した。日本からは水産庁が出席している。
うなぎは日本が世界の消費大国で、国内での供給量は1985年ごろから輸入が増加。2000年には約16万tが供給されていたが、その後減少し、ここ数年は約5万tと3分の1以下となっている。水産庁は、その背景について、中国事業者が日本への輸出を目的としたヨーロッパウナギ養殖を急増させ、ヨーロッパウナギの資源量が減少するとともに日本への輸出も急激に衰退したことを挙げている。
同様にニホンウナギについても日本が消費大国。シラスウナギ、は黒潮に乗って台湾、中国、日本、韓国と流れつき、そこで捕獲される。そのため、資源管理については、この4ヶ国の協調が必要として、2014年に各国でのシラスウナギ池入数量上限値を設定した。内訳は、日本が21.7t、中国36.0t、韓国11.1t、台湾10.0t。
シラスウナギ漁は今年も非常に不漁。そのため、将来に向け資源量回復を図るには池入数量上限の引下げが欠かせない。しかし、2014年の4ヶ国合意以降、中国は5年連続で同会議を欠席しているため、3ヶ国は中国なしでの引下げは実施したくない。そのため、今年も上限を据え置いた。
他方、上限が設定された国際管理の裏をつくような密漁や日本への密輸も横行している。現在、中国や台湾での違法漁が香港を経由して日本に入ってきていることが発覚している。水産庁は、密輸の原因は台湾が日本に対してシラスウナギ輸出を禁止しているととらえ、輸出を解禁すれば取引経路が明確になり密輸をなくせると考えている。一方で、国内は自力でのシラスウナギ漁が不漁のため、国内のうなぎ取扱企業のために輸入を増やし、高騰しているうなぎ価格を下げたい意向も滲み出ている。果たして、輸出解禁で資源量は本当に増えるか。
【参考】【日本】香港産の違法シラスウナギが日本で大量に流通。暴力団関係者による密漁も発覚(2019年3月28日)
【参考】【日本】シラスウナギ漁、記録的な不漁。輸入監視強化もあり、うなぎ価格は高騰の危機(2019年3月22日)
【参考】【国際】ワシントン条約、日本がヨーロッパウナギとニホンウナギを大量に輸入と報告。高まる規制機運(2018年6月3日)
【参照ページ】ウナギをめぐる状況と対策について
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