IT世界大手米マイクロソフトのブラッド・スミス社長は4月15日、組織が内部的に使用する炭素価格「インターナルカーボンプライシング(ICP)」の価格を1t当たり15米ドルに引き上げると発表した。マイクロソフトは7年前からICPを導入しており、各事業部門に対して二酸化炭素排出量に応じて費用を徴収。各事業部門は、それにより財務的に二酸化炭素排出量を削減するインセンティブが生まれている。同社は徴収してプールした予算を用いて、企業全体での二酸化炭素排出量削減プログラムに投資している。
それとともに二酸化炭素排出量削減に向けた複数のプログラムも打ち出した。まず、米ワシントン州ピュージェット湾の事業所の二酸化炭素ネット排出量をゼロにする。また、事業所建設用の建材でも、2018年9月に建材製造から生じる二酸化炭素排出量を削減するため、新たな新ツールの実験的導入を発表。建材生産での二酸化炭素排出量を最終的に30%の二酸化炭素排出量削減を目指しており、他の事業所でも大幅削減を目指す。
また、同社が開発した地球環境AI支援プログラム「AI for Earth」では、新たなデータセットとオープンAPIを搭載する。クラウドサービス・サーバー、電子機器等でも二酸化炭素排出量を削減するため既存及び新規のビジネスパートナーと協働する。政策提言分野でも、Carbon Leadership Councilに参加し、米連邦政府がカーボンプライシング(炭素価格)制度を導入することを支持する。
また、マイクロソフトは最新の調査研究の結果、農業、エネルギー、水、交通の4分野では、人工知能(AI)を用いることで世界GDPを4.4%押し上げると同時に二酸化炭素排出量を4%削減することができるとわかった。また3,800万人の雇用創出効果もあり、AI研究を進める。
再生可能エネルギー導入では、すでに1.5GW以上の調達を実施。事業電力100%再生可能エネルギーにするRE100にはすでに加盟しており、2023年までに70%を目指す。データセンターのエネルギー効率化でも、IoT、ブロックチェーン、AIの検討を進めている。
さらに今回、新たに水を重要テーマに設定。水ストレスの高い地域で同社の水消費量分を還元する戦略を2030年までに打ち立てる。IT企業ではサーバーセンターで大量の水を使っている。
AI for Earthでは、合計5,000万米ドル(約56億円)の助成金を供給した。2017年のプログラム発足以降、助成した案件は230以上。同社のクラウド型AIツール「Azure」等を用いてサステナビリティ分野のソリューションが研究されている。実際に、Ecolabやオーステッド、シーメンス・ガメサ・レニューアブル・エナジー等はAzureを用いてエネルギー効率向上や水消費量削減を追求しているという。
【参照ページ】Microsoft increases carbon fee while announcing commitment to double down on sustainability
【参照ページ】We’re increasing our carbon fee as we double down on sustainability
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