金融世界大手米モルガン・スタンレーのサステナブル投資研究所は4月16日、世界のプラスチック廃棄物問題に対応するための体系的な決意をまとめた「Morgan Stanley Plastic Waste Resolution」を表明した。2030年までに海洋プラスチックや埋立処理されるプラスチックを5,000万t削減するために様々な手を尽くす。
同社は、世界で生産されたプラスチックの75%以上は廃棄され、大半が海洋プラスチックまたは埋立処理されていると指摘。プラスチックは徐々に細かくなり、最終的には食物連鎖や水資源の中に混入してきていると警鐘を鳴らした。
今回発表の決意では、同社の複数の部門で打ち手を展開する。まず、同社グループ全体で、使い捨てプラスチックの使用を止める。また、グローバル・キャピタル・マーケッツ部門では、世界銀行が発行した持続可能な開発ボンドのようにプラスチック廃棄物削減を資金使途とする債券を引き受けていく。機関投資家株式部門では、プラスチック廃棄物に対処するためのストラクチャード・ファイナンスを手がけていく。
投資運用を担当するMorgan Stanley Investment Managementでは、公募と私募の双方でプラスチック廃棄物のリスクや機会を考慮したファンドを設置する。また、パブリックファイナンス部門では、市政府、行政法人、大学、病院等の公営機関や非営利機関に対し、プラスチック廃棄物の回収、リサイクル、処理サイクルの構築のためにファイナンスする。ウェルスマネジメント部門は、海洋保護に関する国連持続可能な開発目標(SDGs)に良い影響を与えるリスクスペクトラムを通じた「低/ミニマム・ボラティリティ」型の戦略を提供していく。
同社の研究部門では、「サステナビリティ研究」への費用投入を継続し、プラスチック問題と投資機会の分析を進める。サステナブル投資研究所は、プラスチック問題を投資家が考慮できる手法に関する思想的指導者を目指す。女性起業家やマイノリティ起業家のテクノロジー支援を実施している「多文化イノベーション・ラボ」は、来年にプラスチック廃棄物削減をテーマとしたイノベーション提案を募集する。
大学との協働も強化する。まずミシガン大学環境・サステナビリティ・スクール(SEAS)とパートナーシップを締結し、大学院生向けのプラスチック廃棄物削減フェローのポストを用意。特に資本市場や投資を通じた解決策の研究を支援する。ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院と毎年開催している事業コンテスト「Kellogg-Morgan Stanley Sustainable Investing Challenge」では、2020年からプラスチック廃棄物削減に関する部門賞を新たに新設する。
【参照ページ】Morgan Stanley Launches Broad-Based Commitment to Develop Systemic Solutions to Reduce Global Plastic Waste
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