国際環境NGOのFriends of the Earth(FoE)オランダは4月5日、ロイヤル・ダッチ・シェルに対し裁判所への出頭命令書を提出した。裁判所に対し、ロイヤル・ダッチ・シェルへ二酸化炭素排出量を2030年までに2010年比45%削減、2050年までにゼロとするよう命じることを求める考え。Roger Cox弁護士が主導した。
【参考】【オランダ】環境NGOのFoE、気候変動問題でロイヤル・ダッチ・シェルを提訴する考え表明(2018年4月8日)
FoEオランダは2018年4月にもロイヤル・ダッチ・シェルのCEOに対し、気候変動を引き起こしている法的責任を追及する書簡を送っていた。ロイヤル・ダッチ・シェルは今回、気候変動への対応アクションは必要としつつも、裁判所で議論するのは不適切との見解を示している。出頭命令には応じる考え。シェルに対しては、気候変動に関連して17,000以上が原告団として参加している。
一方、蘭気候変動推進NGOのFollow Thisは、ロイヤル・ダッチ・シェルに対して2018年11月に提出した気候変動株主提案を取り下げる見込み。同社に対しては、別途、国連責任投資原則(PRI)等が率いる機関投資家団体が12月3日、集団的エンゲージメントを実施し、3年から5年の二酸化炭素排出量削減短期目標を設定することで合意していた。その影響もあり、Follow Thisは、賛同を取り付けていたエイゴン、NNインベストメント・パートナーズ、MN、Actiam、Achmea、Blue Sky Group、Kempen等と集中審議を行ったところ、投資家側からシェルの動きをしばらく見守りべきとの声が出たため、今回の取り下げとなった。
【参考】【オランダ】シェル、Climate Action 100+とCO2削減短期目標設定で協働。経営陣報酬もCO2削減に連動(2018年12月9日)
【参考】【国際】気候変動推進NGOのFollow This、石油ガス大手4社に株主提案提出。スコープ3削減目標要求(2018年12月27日)
これらを受け、ロイヤル・ダッチ・シェルは4月8日、二酸化炭素ネット排出量削減プログラム「Net Carbon Footprint ambition」を発表し、すでに取り組んでいる内容を改めて強調した。ロイヤル・ダッチ・シェルは目下、二酸化炭素ネット排出量を削減するため、カーボンオフセットを活用している。2019年から2021年までの3年間もカーボンオフセットに3億米ドル(約333億円)を投資し、自社のネット排出量を2%から3%削減しにいく。
また、同社は4月17日から、オランダの同社サービスステーション(SS)で、給油顧客向けのカーボンオフセット・サービスの提供を開始する。「Shell V-Power」のガソリンやディーゼルを選んだ顧客は、無料でカーボンオフセットが適用される。また、通常のガソリンやディーゼルを選んだ顧客は、1l当たり1セントでオプション販売する。今年後半には英国に拡大し、その後他の国でも展開することを検討している。二酸化炭素排出量を削減したい法人顧客を主な対象としている。また、電気自動車(EV)を推進するため、New Motionと連携し、欧州10万ヶ所のサービスステーションにすでにEV充電ステーションを設置。現在もIONITYと連携し、EV超高速充電ステーションを欧州500ヶ所に設置中。これに加え今回、200ヶ所に再生可能エネルギー電力を用いたEV充電ステーションを200ヶ所設置すると発表した。
【参照ページ】Shell invests in nature as part of broad drive to tackle CO2 emissions
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