証券監督者国際機構(IOSCO)は4月8日、行動経済学の観点からの個人投資家保護の有効性をまとめたレポートを発行した。調査に参加した各国の金融当局からは、行動経済学を十分にアクションに反映させることへの難しさも伝えている一方、当局が行動経済学の知識を付けていくことに重要性も唱えた。
今回の分析では、個人投資家保護の観点で「情報開示設計」「オンライン・インターフェース」「情報の適時性」の3つで、行動経済学の示唆をまとめた。情報開示設計では、円グラフや情報の見せ方によって個人投資家の意思決定に大きな影響を及ぼしうるとし、当局の規制や政策においても効果を考慮に入れる意味があるという見解を示した。
また、目論見書や投資家向け報告書を数ページにまとめたとしても、必ずしても投資家にとってわかりやすいものにはなっていないことも示した。個人投資家にとってはグラフで比較等を示されたほうがわかりやすいが、見せ方次第ではバイアスとなる可能性があることにも注意が必要とした。
情報の解釈でも、人によって異なる点が確認された。そのため、当局は、万人に効果のある政策を打つよりも、多様な思考の投資家にうまく作用する政策を打ち出しつつ、異なる解釈をする投資家にとっての悪影響を最小化するという高度な打ち手が必要だとした。新しく登場したオンラインでの情報開示については、研究が発展途上とした。
また今回の分析の結果が、そのまま現実社会に当てはまるかについても留意を促し、今後検討を深める上でもデータを蓄積していくことは重要だとした。
【参照ページ】IOSCOによる行動インサイトの投資者保護への活用に関する報告書の公表について
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