米人権NGOヒューマン・ライツ・キャンペーン財団(HRC)は3月28日、企業のLGBTQに対する差別撤廃を評価する今年度結果「企業平等指数(Corporate Equality Index、CEI)2019」を公表した。回答した1,163社のうち、572社が満点の100点を獲得した。当初グーグルは、満点スコアを保留されていたが、グーグルが直ちに問題を解消し最終的に満点スコアを獲得した。
CEIは、LGBTQに対する職場の公平性を示すベンチマークとして2002年にスタート。HRCは、LGBTに「Q」を足した「LGBTQ」の用語を近年用いている。「Q」はQuestioning(クエスチョニング)やQueer(クィア)の意で、既存の性のあり方に左右されない志向の人を指す。米国企業や法律事務所ではますますLGBTQの差別をなくす動きが広がってきている。同調査では、フォーチュン1000入りしている米大手企業1,000社とAmLaw200入りしている米大手法律事務所を対象に毎年質問票を送付し、回答に基づきスコアリングしている。対象外の企業も、米国での従業員数が500人以上いれば質問票の送付を要求できる。今年は1,163社が回答した。
評価の観点は、企業の差別禁止方針、従業員の給与や人事制度待遇、LGBTQのダイバーシティ・インクルージョンに関する企業のコンピテンシーと責任、LGBTQ平等の公式コミットメント、市民責任の5つ。一昨年の調査からは満点の条件に、性的指向や性別認識に基づく差別を撤廃する方針や行動規範をグローバルに定めていることが加えられ、基準が厳しくなった。
今年の結果は、回答した1,163社のうち、572社が満点の100点を獲得。満点獲得企業は、昨年の609社からやや下がった。フォーチュン500企業のうち性的志向による差別の撤廃を公式に標榜する企業も、2002年には3%だったが、今回は85%にまで増えた。またフォーチュン500企業のうち62%(2012年時は0%)は、トランスジェンダーの従業員にも、同等に医療福利厚生制度を適用していた。
今年のCEIでは、フォーチュン500企業のうち、質問票に回答しなかった136社についても、公開情報をもとに評価を行い、企業に個別に結果がフィードバックされた。
米国ではLGBTQの権利は差別禁止法で明示的には保護されていない。オバマ政権時代に策定されたLGBTQ権利保護を設けたが、トランプ政権以降次々と白紙撤回された。今回の調査では、170社が、LGBTQの権利を法的に保護する平等法案(Equality Act)にも賛同した。
今回のCEIの中では、当初グーグルは、満点スコアを特別に保留されていた。理由は、グーグルのAPPストア「Google Play Store」に、Living Hope Ministriesが開発したLGBTの転向療法アプリが掲載されていたため。HRCは、同レポートの中で「転向療法は、うつ病や不安、ドラッグ使用、ホームレス状態、自殺等の原因になりうる。LGBTQコミュニティに有害となりうる同アプリに、適切に対応せず放置している企業に対しては、格付けを停止する」と表明。社名こそ伏せたが、対象はグーグルだと明確にわかる脚注が付けられていた。アップル、アマゾン、マイクロソフトは、すでに同アプリをストアから削除していた。
これに対しグーグルは、すぐに同アプリを「Google Play Store」から削除。その後、HRCからダウンロードできる報告書では、グーグルは100点スコアを獲得しており、脚注も消え、当初571社となっていた100点企業数は、現在は572となっている。
【参照ページ】HRC Releases Annual Corporate Equality Index with 571 Top U.S. Companies Earning Perfect Scores
【参照ページ】CEI 2019
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