経済産業省は3月29日、気候変動対応を進める企業向けに、二酸化炭素排出量測定における国際基準に照らした報告ガイダンス「国際的な気候変動イニシアティブへの対応に関するガイダンス」を発行した。国際環境NGO世界資源研究所(WRI)と、持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が2012年に策定した「GHGプロトコル スコープ2ガイダンス」を解説。再生可能エネルギー等を用いて二酸化炭素排出量削減に取り組む企業に対し、経済産業省としての公式見解となる。
WRIとWBCSDが策定している「GHGプロトコル」は、二酸化炭素排出量測定の国際的なデファクトスタンダードとなっており、各国が個別に設定するガイドラインも、GHGプロトコルを参照されて作られていることが多い。2012年に策定した「スコープ2ガイダンス」は、企業等が購入する電気や熱、蒸気からの二酸化炭素排出量を算出するためのテクニカルなガイドライン。そのため、スコープ2ガイダンスは、電力等を消費する企業だけでなく、大手電力会社や小売電気事業者(PPS)にとっても重要な指針となる。
同ガイダンスでは、購入電気等の二酸化炭素排出量の計算において、地域平均の「ロケーション基準」と電力会社毎の「マーケット基準」を設けており、二酸化炭素排出量を削減したい企業にとっては、自ずと「マーケット基準」を採用することになる。その上で、同ガイダンスは、再生可能エネルギー証書を用いて二酸化炭素排出量を控除するための条件も設けており、各国や各団体が発行する証書が使えるかはこの基準によって決まることになる。
日本での再生可能エネルギー証書としては、日本自然エネルギーが発行する「グリーン電力証書」、経済産業省、環境省、農林水産省が運用する「J-クレジット証書(再生可能エネルギー用途のみ)」、経済産業省資源エネルギー庁が運用する「非化石証書」の3つがあるが、今回のガイダンスでは、いずれも「スコープ2ガイダンス」に適合し、同ガイダンスに準拠するCDPとSBTiに対しては、これら証書が活用できることを明確にした。一方、RE100は、スコープ2ガイダンスに加えて独自の基準も設けており、グリーン電力証書とJ-クレジットは活用できるが、非化石証書については、経済産業省が特別に販売している「トラッキング付非化石証書」のみ使用可能。
【参考】【日本】エネ庁、トラッキング付非化石証書を2019年も販売。RE100に使用可能(2019年3月27日)
これに基づき、同ガイダンスでは、企業等が日本で再生可能エネルギーを調達するための7つのパターンを紹介した。
【参照ページ】「国際的な気候変動イニシアティブへの対応に関するガイダンス」を策定しました
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