欧州委員会は3月26日、EU全域での5Gネットワーク整備に向けたサイバーセキュリティ評価の指針を発表した。EUは、5Gは2025年までに2,250億ユーロ(約28兆円)市場となり、欧州の経済競争力強化には不可欠と位置づけている。そのため、加盟国首脳の指示も得て、欧州委員会と加盟国での集中検討が必要と判断し、今回の発表に至った。但し、米国が強く要求していた中国ファーウェイ(華為技術)製品の排除は盛り込まなかった。
今回の指針では、EUと各加盟国の双方に対し、アクションを定めた。まず加盟国に対しては、6月末までに5Gネットワークのリスク評価を国毎に完了することを勧告。それに基づき、既存のサイバーセキュリティー要件の改定、5G帯域のラジオ周波数の使用許可を含む公共ネットワークのセキュリティ対策の実施、サプライヤー及び運営者のネットワークの安全保障面での責務の強化等も盛り込んだ。また、各加盟国の判断で、特定企業を排除する権利があることを明確に表明した。安全保障面については、具体的な企業名等は明らかにしていないが、アンドラス・アンシップ欧州副委員長は、会見の中で、ファーウェイを念頭に置いていることを明らかにした。
一方、EUレベルでは、欧州委員会と欧州ネットワーク・情報セキュリティ機関(ENISA)が協働し、10月1日までにリスクアセスメント実施。各加盟国に導入する技術要件を決めるとともに、安全でないサプライヤーや製品の特定も行う。この検討では、ネットワーク・情報セキュリティ安全保障指令に基づき、各国当局で構成する「調整グループ」が主体となる。作業は12月31日までに終える。また、現在、欧州議会をすでに通過したサイバーセキュリティ法が施行されれば、欧州委員会とENISAが共同でEU全域に提供する認証フレームワークも固める。
【参照ページ】European Commission recommends common EU approach to the security of 5G networks
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