英ノッティンガム大学の「権利ラボ」を中心とする調査チームは3月15日、ブラジルの牛肉及び木材企業を対象とした強制労働対応ガイダンスを発表した。同時に、2018年10月に実施した企業アンケート調査の結果も発表し、企業の対策が不十分である実態が浮き彫りとなった。
ノッティンガム大学の調査に加わったのは、国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)、英人権・環境NGOのCORE Coalition、BRICSポリシー・センター、Reporter Brasil。英国の国立学術アカデミーの英国学士院(British Academy)も協力した。
オーストラリア人権NGOのWalk Free Foundationによると、ブラジルには現在、現代奴隷が369,000人いる。ブラジル政府は1995年に国内に現代奴隷と呼ばれる強制労働状態にある人がいることを認め、旧労働省の下にSpecial Mobile Inspection Groupや、国立奴隷労働撲滅委員会(CONATRAE)を設置し、労働雇用省は現在、現代奴隷に関与している個人や法人を公表する「ブラックリスト(Lista Suja)」の公表も行っている。また、マルチステークホルダーでイニシアチブ「奴隷労働撲滅のための国立協定(National Pact for the Eradication of Slave Labour)」も発足し、モニタリングも強化されている。
今回発表のガイダンスは、企業の調達部門向けに、現代奴隷に関するデューデリジェンスの具体的な手法を5つのステップに整理。各ステップごとに、推奨アクションと企業の好事例を紹介した。
【参考】【国際】日本はサプライチェーンでの現代奴隷関与度が世界第2位。GSI 2018レポート発表(2018年7月25日)
また、企業調査は、牛肉及び木材メーカー大手9社に対し調査票を送付した。4社は、BRF Beef、JBS Global Beef、Marfrig Beef、Minerva Beefの4社で、JBS Global BeefとMinerva Beefは回答した。5社は、Grupo Sudati Timber、Grupo Tramontina、Klabin Timber、Suzano Papel e Celulose Timber、Tradelink Madeirasの5社で、Grupo Sudatiを除く4社が回答した。
調査回答からは、全ての企業が現代奴隷への対応を標榜してはいるものの、人権デューデリジェンスにおいて、サプライヤーに関する第三者監査を実施してないことや、サプライヤー企業名を公表している企業は1社しかない状況等がわかった。一方、ブラジル労働雇用省の「ブラックリスト」は、実際に企業側で使われていることもわかった。
【ガイダンス】Tackling slavery in supply chains: lessons from Brazilian-UK beef and timber
【報告書】Summary of outreach to Brazilian beef and timber companies on forced labour
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