日本の国立研究所及び国立大学の研究者グループは2月28日、気候変動による影響連鎖を可視化する取組に成功したと発表した。1月3日の学術誌AGU100に論文「Earth's Future」を発表した。影響連鎖の図を分析することにより、気候変動が自然環境、社会経済、人間生活に与える影響の大きな構造が明らかにした。
今回の論文作成に参加したのは、国立環境研究所、東京大学、東京工業大学、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、筑波大学、国立研究開発法人海洋研究開発機構、弘前大学の研究者。気候変動は、人間社会や自然環境に様々な影響を及ぼすが、分野が多岐にわたるあまり、各分野での相互影響については研究が進められてきたが、研究分野を超えた地球システム全体での影響連鎖については必ずしも捉えきれていなかった。今回、研究チームは、既存の文献を利用して網羅的に調査し、影響の間の連鎖関係を視覚的に分かりやすい形で表現した。
今回の調査では、網羅性を重視。悪い影響だけでなく、良い影響(便益)も調査の対象とした。具体的には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が作成した第5次評価報告書(AR5)の参照文献をさらに遡り、全体として気候変動による影響を87項目に、これらの影響を引き起こす気候変動要因を17項目にまとめた。また、項目の間の因果関係を調査し、256の因果関係を「影響の連鎖」としてまとめた。
<食糧分野の例>
(出所)国立環境研究所
研究チームは、今回の発見により、異なる分野の研究者が幅広い影響の連鎖を理解することにつながるだけでなく、一般の人々に影響をわかりやすく伝えていくツールとしても活用できると期待している。
【参照ページ】気候変動による影響の連鎖の可視化に成功ー地球温暖化問題の全体像を人々が理解することに貢献ー
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