欧州議会と加盟国閣僚級のEU理事会の議長は2月25日、欧州委員会のサステナブルファイナンス政策の一環で提案した、低炭素インデックスの定義案で政治的合意に達した。今後、加盟国各国のEU大使からの指示を取り付けた後、欧州委員会とEU理事会で公式な採択手続きに入る。EU理事会議長国は、輪番制で現在はルーマニア。
【参考】【EU】欧州委員会、サステナブルファイナンス政策案発表。今後、EU理事会・欧州議会で審議(2018年5月28日)
欧州委員会は2018年12月7日、サステナブルファイナンスにおける「サステナブル」定義(タクソノミー)案を発表し、2019年2月22日までパブリックコメントを集めていたが、今回の低炭素ベンチマークの公式定義設定はそれとは別に並行して進められている。低炭素インデックスについては、現在、インデックス開発会社が「低炭素」等の表現が乱立していることを課題視し、EUとしての定義を定めることを目的としている。
【参考】【EU】欧州委員会、サステナブルファイナンスの「サステナブル」定義案発表。フィードバック募集(2018年12月10日)
今回の政治的合意では、低炭素インデックスの公式定義として2本定めている。まず、「EU気候移行ベンチマーク(EU climate transition benchmarks)」。こちらは、パリ協定による長期的気候変動目標に沿った2022年末までの測定可能で科学的根拠に基づく「脱炭素への道筋」に合致する企業を考慮に入れたベンチマーク。
もう一つは、「EUパリ協定同調ベンチマーク(EU Paris-aligned benchmarks)」。こちらは、パリ協定の中で定められた2℃目標達成に貢献する企業のみを選定したベンチマーク。「EU気候移行ベンチマーク」が科学的根拠に基づく最低限の削減をしている企業を念頭に置いているのに対し、「EUパリ協定同調ベンチマーク」はより積極的に2℃目標の達成へと導く企業への積極投資の意味合いがある。
他にも、今回の合意では、既存のベンチマークの情報開示強化に関する内容も盛り込まれた。全てのインデックスは、ESG考慮の手法および二酸化炭素排出量削減に関する説明が義務化される。また、ファンド運用利用金額等でEUが重要と認識する「重要ベンチマーク(Critial Benchmark)」と、EU域外で運営される「第三国ベンチマーク(Third-country Benchmark)」についても、気候変動に関する規制をかける追加条項も2021年までに導入することでも合意した。
【参照ページ】Sustainable finance: Presidency and Parliament reach political agreement on low carbon benchmarks
【参照ページ】Sustainable finance: Commission welcomes agreement on a new generation of low-carbon benchmarks
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