欧州委員会は2月8日、2018年12月に制定された改正EU再生可能エネルギー指令に基づき、バイオマス発電の燃料基準を定めた委任法令案を発表した。土地利用の大きい燃料を用いたバイオマス発電は、再生可能エネルギーと見なさない内容となっている。同委任法令が施行されると、パーム油やパーム椰子殻(PKS)等を用いたバイオマス発電やバイオ燃料では、森林破壊を伴っていないことを保証する認証取得等が義務付けられることになる。3月8日までパブリックコメントを募集する。
改正再生可能エネルギー指令は、EUでの再生可能エネルギー推進に関する方針を定めたEU法。加盟国政府に対し、2020年までに発電を含むエネルギー需要の20%以上を再生可能エネルギーで供給することを義務化した。また輸送燃料に限定しても2020年までに再生可能エネルギー比率を10%以上とすることも義務付けた。同法では、再生可能エネルギーは、太陽光、太陽熱、風力、地熱、潮力、バイオマス、水力、下水消化ガス、埋立処分場ガス、バイオガス等が含まれる。同法では、加盟国政府に対し、達成に向けたアクション設定及び毎年に進捗報告も義務付けている。同時に、バイオマス発電、バイオ燃料の燃料生産では森林破壊も懸念されているため、燃料について基準を定めることも盛り込まれた。
今回公表された委任法令案では、主に、高炭素貯留(HCS)地帯を大規模に開拓して生産される「間接的土地利用変化(ILUC)」リスクの高い燃料と判断される基準と、「間接的土地利用変化(ILUC)」リスクが低いと認証される燃料の基準を規定している。基準をクリアしない燃料を用いた発電やバイオ燃料は、改正再生可能エネルギー指令で定められた再生可能エネルギー比率算出ではカウントされない。
委任法令(Delegated Act)とは、欧州議会が欧州委員会に対して細則設定権限を委任した形で制定されるEU規則。通常の立法手続を踏む立法行為ではないが、「非立法行為」と言われ、法的拘束力がある。
【参照ページ】Sustainability criteria
【EU法】改正EU再生可能エネルギー指令
【委任法令案】High and low Indirect Land-Use Change (ILUC) - risks biofuels, bioliquids and biomass fuels
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