タイ政府は1月30日、国際労働機関(ILO)漁業労働条約(第188号)の批准書交換式を行い、正式に同条約に加入した。同条約は、漁業労働者の労働安全衛生、医療ケア、休日、労働契約書、社会保障等に関する義務を規定している。同条約を批准したのはアジア諸国ではタイが初。
同条約は、2007年6月14日に採択され、2017年11月16日に発効。他には、フランス、ノルウェー、エストニア、リトアニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アルゼンチン、南アフリカ、モロッコ、コンゴ、アンゴラが加入。英国、セネガル、ナミビアも批准を済ませ、各々今後1年以内に発効する。日本は未批准。
タイは、近年、漁業労働者の人権違反が指摘されており、今回ついに政府が同条約を批准。状況の改善が期待されている。ILOのガイ・ライダー事務局長は、他のアジア諸国にも加入してほしいと呼びかけた。
【参考】【EU】欧州委、タイのIUU漁業対策を評価し輸入「イエローカード」解除。時期尚早との批判も(2019年1月11日)
タイの状況改善は不十分と批判してきた環境NGOのEnvironmental Justice Foundationは、タイでの対策は不十分との見方を示した。同NGOは、これまでの実地調査において、船員が休日を取得していないのに取得したと申告させられているケースや、船員の銀行キャッシュカード等を船主が保管しているケースがあると指摘。タイ政府が十分な監督に乗り出していないことも不十分としている。また、船長の親族に限り船員労働を16歳以上に容認していることに対しては、夜間労働を禁止していることは評価しつつも、労働搾取のリスクがあるとして、下限年齢を引き上げるよう提言した。
【参照ページ】Thailand ratifies Work in Fishing Convention
【条約】2007年の漁業労働条約(第188号)
【参照ページ】THAILAND IS FIRST ASIAN COUNTRY TO RATIFY INTERNATIONAL STANDARDS FOR WORK IN FISHING
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