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【イギリス】FRC、英国スチュワードシップ・コード2019年版案公表。内容を大規模改編

 英国財務報告評議会(FRC)は1月30日、改訂スチュワードシップ・コード案を公表した。3月29日までパブリックコメントを募集する。英国のスチュワードシップ・コードは2010年に初版がリリースし、2012年に改訂版がリリース。今回の2019年版は7年ぶりの改訂で第3版となる。

 今回の改訂では、内容が大きく改編された。現行版は、原則1から原則7までの7原則構成だが、2019版は、4項目で合計10原則となった。原則名についても、原則Aから原則Jまでとアルファベット表記となった。その中でも、項目の一つに「Purpose, Objectives and Governance(目的、目標、ガバナンス)」が位置づけられ、機関投資家は、組織の目的(存在意義)を掲げるとともに、スチュワードシップ活動を遂行するための価値観、組織文化とともに開示すべきという内容が加わった。同様の内容は、英国版コーポレートガバナンス・コードにもあり、目的や価値観の情報開示が強調された。また、スチュワードシップ・コードの適用では、従来は上場株式の投資家が対象だったが、今回は全アセットクラスの投資家を対象にすることが明記された。

英国スチュワードシップ・コード2019版案

目的、目標、ガバナンス

  • 原則A:Signatories must develop their organisational purpose and disclose how their purpose, strategy, values and culture enable them to fulfil their stewardship objectives.
  • 原則B:Signatories must develop and disclose their stewardship approach and objectives, and how they serve the interests of clients and beneficiaries.
  • 原則C:Signatories’ governance, processes, resources and remuneration must support the delivery of their stewardship objectives.
  • 原則D:Signatories must establish policies to manage conflicts of interest, which put the interests of beneficiaries and/or clients first.

投資アプローチ

  • 原則E:Signatories must integrate stewardship with their investment approach and demonstrate how they take into account material ESG factors, including climate change.
  • 原則F:Signatories must actively demonstrate how prospective and current investments are aligned with their stewardship approach.

積極的なモニタリング

  • 原則G:Signatories must actively monitor the performance of the assets for which they are responsible and/or the managers and service providers that they use.

建設的なエンゲージメントと明確なコミュニケーション

  • 原則H:Signatories must undertake constructive engagement to maintain or enhance the value of assets.
  • 原則I:Signatories must communicate clearly with clients and beneficiaries.

権利行使と責任

  • Signatories must actively exercise their rights and responsibilities.

 各項目については、アセットオーナーと運用会社のそれぞれに対し、具体的な内容を示す「条項(Provision)」が定められている。また具体的な実施内容例等を示したガイダンスも各項目ごとに記された。投資手法については、原則Eにおいて「気候変動を含む重要なESGファクターを考慮する」ことが定められ、気候変動が強調された形となった。

 さらに今回の2019版では、アセットオーナーと運用会社の機関投資家だけでなく、サービスプロバイダーに対しても、項目「目的、目標、ガバナンス」の4つの原則を適用した。サービスプロバイダー向けにも、条項(Provision)とガイダンスが記載された。

 EUでは第2次株主権利指令(SRD II)に基づく国内法が2019年6月10日までに発効することになっているが、FRCは今回の2019年版はSRD IIより要求レベルを厳しくした説明している。英国は、EU離脱を控えているが、離脱時にEU法は英国法に自動転化されるため、SRD IIについてもEU離脱後も適用される。

【参考】【EU】欧州議会、「SAY ON PAY」や株主エンゲージメントを法制化するEU指令を可決。EU理事会での審議へ(2018年3月30日)
 
【参照ページ】FRC strengthens Stewardship Code

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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