国連機関7機関は1月24日、電子廃棄物(e-waste)削減を求めるレポートを発表した。ごみになった電子機器のリサイクルされている割合は世界全体でわずか20%弱。2016年の世界全体の電子廃棄物は4,470万tで、史上累計の民間航空機の重量よりを上回る規模。電子廃棄物を金額換算すると625億米ドル(約6.8兆円)と、世界の大半の国のGDPも超える。
今回のレポートは、国際労働機関(ILO)、国際電気通信連合(ITU)、国連環境計画(UNEP)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連訓練調査研究所(UNITAR)、国連大学(UNU)、バーゼル・ストックホルム条約事務局による共同作成。さらに世界経済フォーラム(WEF)とWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)も協力した。
電子廃棄物の内訳は、小型家電が38%、大型家電が20%、冷暖房設備が17%、ディスプレイが15%、スマートフォン等の小型IT機器が3.9%、電灯が0.7%。そのうち正規ルートでリサイクルされているものは20%弱で、残り80%強は回収されておらず、埋立られてたり、非公式ルートで回収され、リサイクルされたりしている。非公式ルートでのリサイクルについては、ごみ集積所等で貧困層が有毒物質にさらされつつも素手で回収したり、燃焼して高価値物質を取り出す中で有害物質を発生させていたりと健康や環境へのリスクが非常に高い状態にある。
電子廃棄物は先進国を中心に生み出され、新興国に輸出されている実態がある。発生量が多い国は、ノルウェー、スイス、アイスランド、デンマーク、英国等、環境意識が幸せレベルが高いと言われている国が多い。日本や米国、韓国も発生量が多い。
今回のレポートでは、電子廃棄物を削除するためのビジネスモデル変革、廃棄物の価値再評価、リサイクルフローの安全性向上を検討するべきと提言。製品設計では、長期利用でき、再利用・安全なリサイクルがしやすい設計にし直すべきとし、使用済みの電子機器を回収するフローも確立するよう求めた。また回収済み製品を回収しリサイクルする「リバースロジスティクス(逆ロジスティクス)」や、「都市鉱山」からの資源回収、製品の耐久性や修理の普及等も促した。
【参照ページ】50 million tonnes of potentially job creating e-waste discarded annually
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