インデックス開発世界大手米MSCIは1月22日、2019年のESG重要トレンドを発表した。機関投資家向けに、機会とリスクの双方の視点から、着目すべきテーマを5つ挙げた。
プラスチックごみ
MSCIは、プラスチックごみ対策は、企業にとって単なるマーケティングテーマから大きな事業課題に転化していると指摘。特に、中国、それに続きタイ、マレーシア、ポーランド、トルコ等が廃プラスチックの輸入を禁止した措置が、世界各国の政策決定者に大きな影響を与えたと分析している。EUや英国ではすでにプラスチック廃棄物を削減する法規制が打ち出されてきており、企業は大きな規制リスクを背負うようになってきたとした。プラスチックごみ規制強化によるリスクや機会へのエクスポージャーが高いセクターは、高い順に、ソフトドリンク、総合化学、一般化学、金属・ガラス、紙包装、農業製品、総合電機、オフィス用品、特殊化学、ヘルスケア製品、紙製品、包装売り食品。
ESG投資の事業規制
ESG投資に関する機関投資家と発行体双方の規制は、2018年に急増。特に、以前は発行体側にESG情報開示を促す規制が多かったが、近年は機関投資家にESG投資を促進したり考慮を義務付ける法規制が増えてきた。それにより、機関投資家側が幅広い発行体にESG情報開示を求める声も強まっていく。このテーマでも注目の的はEUのサステナブルファイナンス政策で、「グリーンウォッシング」ではないESG投融資が金融機関には求められていく。
迫りくる気候変動リスク
気候変動については、2018年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した「1.5℃特別報告書」が大きな影響を及ぼしている。同報告書によると、気候が産業革命前から1.5℃上昇しただけでも世界の経済には大きな影響を与える。MSCIは今回、その中でも不動産価格に焦点を当て、沿岸部の不動産の中には洪水リスクが上昇するものがあると指摘。不動産投資において気候変動リスクの考慮が重要となるとの見方を示した。
ビッグシグナル革命
すでに投資家にとって入手できるビッグデータは増加しているが、今後その中でも「シグナル」となるビッグシグナルの重要性が高まっていく。ビッグシグナルにより、投資家が活用できるESG情報は、企業自身の開示データだけでなく、衛星データ等、様々な情報源のデータが有効に機能する。
経営陣の透明性
経営陣の役割は、企業内部の代表という存在だけでなく、企業と社外の政府、顧客、投資家をつなぐ役割が強く認識され始めている。そのため、経営陣の関する不祥事については、企業全体の大きな影響を与える。近年、経営陣のレイプ騒動やセクシャルハラスメント等の不祥事事件は増えてきており、株主は経営陣に関する情報についての開示も強く求めるようになってきた。
【参照ページ】ESG TRENDS TO WATCH IN 2019
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