カンボジアのイット・ソムヘーン労働・職業訓練相は1月15日、労働省官僚に対し、労働組合保護を規定する労働組合法を厳格に遵守するよう命じた。カンボジアでは労働争議が多発しており、社会問題となっている。労働問題等に対しては、EUは輸入優遇措置の停止もちらつかせており、政府も放置できなくなってきているが、労働団体側は、今回の大臣発言も単なる「ポーズ」ではないかと、徹底には懐疑的な見方を示している。
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今回の通達は、12月14日付となっているが1月15日に発せられた。ソムヘーン大臣は、同省官僚に対し、労働組合指導者に家族や身内の情報の提出を要求指定はならないと命令。また、地方の労働組合が同省に出向かずとも、労働組合の連合体を通じて労働組合の行政登録ができるようにするよう命じた。これまで、労働組合の指導者に対しては、行政当局から心理的プレッシャーをかけられていたことが背景にはある。
労働組合の連合体「Collective Union of Movement of Workers」のパブ・シナ委員長は、今回の通達を歓迎する一方、12月14日付の通達が1月15日まで発せられていなかったことに対し、同省に対する不信感を顕にした。また、1月に入ってからもアパレル工場での大量一斉解雇が起きた際にも同省は会社側に好意的な姿勢を見せており、同委員長は、同省の姿勢を信用するには、まず企業に対し労働組合関係者への嫌がらせを止めさせなければならないと注文をつけた。
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