英国民保健サービス(NHS)は1月7日、英政府から5年間で205億ポンド(約2.8兆円)の長期予算を受け、医療サービス改革を開始した。出産支援や高齢者介護、医療サービスのIT化等を推進する。NHSは国営医療サービス機関。
今回の改革の主な柱は、育児休暇中の母体ケア強化や両親の精神ケアサービスの提供、高齢者の自立支援、メンタルヘルスを含めた重症患者への手当強化等。また、IT化を推進し、診療予約、処方箋管理、医療記録閲覧等をオンラインで行えるようにするとともに、医療事務コストも7億ポンド(約970億円)以上削減する。
さらに、プライマリ・ケアや地域医療サービスを拡充することで院外の医療サービスを改善する。母体のケアの安全性向上では、死産数、妊産婦死亡数および新生児死亡数、脳損傷を2025年に半減させるという目標を設定した。また、医療従事者の増員も図り、医師、看護師等を約1万人増員する。
今回の長期予算は、NHSイングランドを対象としたものだが、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドについても、各地方政府に公平な予算配分を定めた「バーネットフォーミュラ制度」に基づき、同様に予算が強化される。
一方で、NHS予算は年々右肩上がりで増加しており、2016年には国家予算の約30%を占めるまでに至った。一部医療サービスは無料でも提供されており、有料化については世論の反発も大きい。今回の施策は、医療サービス強化とIT化による予算削減を組み合わせることで、改革を行う考え。
【参照ページ】NHS Long Term Plan launched
【参照ページ】PM: Launch of the NHS Long Term Plan marks an historic step to secure its future
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