法人税回避防止の新指令は、経済協力開発機構(OECD)の「BEPS(税源浸食・利益移転)プロジェクト」が2015年10月にまとめた「BEPS最終パッケージ」の内容に基づき、2016年5月制定されたに租税回避防止指令(ATAD)。経済活動の実態のない国への利益移転に対しても法人税課税できる規定や、利益移転のためにグループ企業への融資金利を高額に設定する行為を防止するため支払利息純額はEBITDAの30%を限度として控除可能とするルール等を設けた。
租税回避については、EUではすでにATADを強化した第2次租税回避防止指令(ATAD II)を制定済みで、こちらは2020年1月1日から施行される。ATAD IIでは、租税回避行為に対する課税行為を、プライベートエクイティ(PE)、ハイブリッド譲渡(transfer)、輸入ミスマッチ、リバースハイブリッド事業体を活用したスキームにも拡大し、租税回避規制の穴を塞ぐ。
金融新法は、EUが進める資本市場同盟(CMU)アクションプランの一環。まず、中小企業ローンや自動車ローンを原資産とする流動化証券の発行額がリーマン・ショック以前よりも増えてきた背景を踏まえ、証券化に関する新たな統一規則が1月1日から施行。投資家への情報開示の透明性や一貫性を向上させる。「Simple, transparent and standardized」と表現されることから「STS規則」とも呼ばれている。また、1月13日には、第2次企業年金EU指令(IORP II)も施行。6月10日には、改正・株主権利指令(SRD II)も施行される。
【参考】【EU】欧州議会、企業年金EU指令改正案「IORP II」可決。ESG投資の全面実施を規定(2016年12月2日)
【参考】【EU】 欧州議会、「SAY ON PAY」や株主エンゲージメントを法制化するEU指令を可決。EU理事会での審議へ(2017年3月30日)
【参照ページ】New EU rules to eliminate the main loopholes used in corporate tax avoidance come into force on 1 January
【参照ページ】Capital Markets Union: Common EU rules on securitisation will apply as of 1 January
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