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【日本】岐阜県で大規模な豚コレラ感染発生。3ヶ月間で約1万頭を殺処分。沈静化目処立たず

 岐阜県は12月27日、同県関市の県内有数規模の養豚場で出荷前の検査から豚コレラ感染が12月23日に確認された(陽性確定は12月25日)問題で、同養豚場内の豚全8,083頭の殺処分を完了した。当初は飼育頭数は7,547頭としていたが、最終的に536頭増えた。岐阜県では9月に県内の養豚場で豚コレラ感染が確認されて以降、岐阜県内で複数件、愛知県でも感染が発例。静岡県も臨戦態勢に入るなど不安が広がっている。豚コレラは、人体には感染しないが、豚やイノシシに対して高い伝染力と高い致死率がある。

 今回の一連の事件は、9月3日に県内の養豚場で豚の死亡を県に報告したことに始まる。幾度の死体検査を実施したところ、9月9日に農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門で実施された精密検査で豚コレラ感染が確認された。豚コレラの国内での発生は 1992年に熊本県で発生して以来26年ぶりとなった。農林水産省は同日、豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針に基づき、豚コレラ防疫対策本部を設置。同養豚場で飼育されていた繁殖豚79頭と肥育豚531頭を殺処分にし、豚肉輸出を停止するなど対応を実施したが、豚コレラは媒介がイノシシの生体に限られ、ワクチンもあることから、感染拡大は食い止められるとの見方もあった。

 しかし、9月13日、同養豚場から7km離れた岐阜県内の道路脇水路で、野イノシシの死体を住民が発見し通報。翌14日に岐阜県の検査施設で豚コレラの陽性反応が出た。農林水産省も同14日、最初の養豚場で感染した豚の遺伝子解析をした結果、これまでに国内で発生したウイルスとは別の型で、海外から持ち込まれた可能性が高いことを明らかにした。

 その後、岐阜県内の野イノシシの感染チェックが進められ、11月14日までに49頭の感染を確認。11月16日には、岐阜市畜産センター公園の飼育豚2頭を遺伝子検査し、豚コレラ感染を確認。岐阜県の指示を受けた岐阜市は即日、全21頭の子豚を殺処分した。防疫対策が万全と思われていた市の施設での感染は一気に人々の不安を高めた。そして、12月5日、今後は岐阜県畜産研究所養豚・養鶏研究部の飼育豚2頭で感染を確認し、子豚424頭、繁殖用豚67頭の計491頭を殺処分。同研究部は岐阜県産ブランド豚「ボーノポーク」の生産に必要な種豚を開発していた。3例目が防疫の要となる県の中核施設で発生したことで、ますます事態は深刻となる。

 さらに12月12日には、岐阜県関市内のいのしし飼養施設(飼育22頭)で4例目の感染確認。12月15日には岐阜県立の岐阜県農業大学校(肥育豚7頭、繁殖豚3頭)で5例目の確認。12月22日には、岐阜県に近い愛知県犬山市でも野イノシシ1頭が感染していることがわかり、愛知県でも1例目が誕生してしまった。そして12月25日、6例目の感染が岐阜県関市の大規模養豚場で確認され、冒頭の約8,000頭の殺処分となった。この殺処分は大規模となったため、古田肇・岐阜県知事は初めて陸上自衛隊に災害派遣を要請し、名古屋市駐屯の第10師団の約470人が作業に加わった。

 豚コレラの問題では、岐阜県の防疫指導の不備による責任の声も上がっている。豚コレラが発生した施設では洗浄・消毒や野鳥の侵入防止などが徹底されていなかった。岐阜市の市畜産センター公園の感染では、近くで豚コレラ感染の野イノシシが発見されていたのだが、イノシシが出没した場所で使用した重機を豚舎のある畜産エリアでも使っていた。

 今後については、まだ感染拡大防止の目処は立っていない。さらに冬にはウイルスの生存期間が長くなり、ウイルス媒介者となるイノシシが活発に動く春先に感染がさらに拡大するリスクを指摘する声もある。

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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