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【ルーマニア】政府、銀行とエネルギー業界に「富裕税」緊急布告。財政赤字のツケを転嫁

 ルーマニア政府は12月21日、銀行とエネルギーに対し重税を掛ける新税制を定めた緊急政令を布告した。利益の大きな産業を狙い撃ちしており、「富裕税(Greed Tax)」とも呼ばれている。政府は、不公正な慣行の是正と説明している。政府が予告した12月19日から、ブカレスト株式市場は大幅安の展開。

 今回の税制では、銀行に対しては、銀行間貸出金利が2%を超える場合、銀行資産に対し課税する。ルーマニアは産油国としても有名だが、エネルギー業界に対しては売上の2%を課税する。また、一部の法人向けの電気・ガス料金には、今後3年間上限を設ける。

 今回の決定の背景には、ルーマニア政府の財政逼迫がある。ルーマニアはEU内で最も急成長している国の一つだが、今年は、公共部門の賃金アップと年金支給額アップ、減税が重なり、300億ルーマニア・レウ(約8,100億円)の財政赤字となっていた。EUは、加盟国に財政赤字をGDP比3%以内に抑えるよう強いており、ルーマニア政府は今回の措置で36億ルーマニア・レウ(約980億円)の税収増を狙う。政府の財政難のツケを回された形となった金融機関とエネルギー企業は大きく反発している。ルーマニア産業に対する悪影響を懸念し、機関投資家からも富裕税に否定的な見方が出ていた。

 銀行に対する重税は、東欧諸国では常套手段ともなっている。同じく2010年頃に財政難となったハンガリー、スロバキア、オーストリア、ポーランドでも導入済み。しかし今回の大きな反発が出ている背景には、他国は銀行と協議を重ねて新税導入していたが、ルーマニア政府は銀行と協議を行っていなかった点にある。また、2010年頃は欧州債務危機の影響で経済がどん底にあり、政府も債務危機に陥っており新税導入に対する理解があったが、今回のルーマニア政府にはそれには該当しない。

 またルーマニアでの産油には、オーストリア、フランス、イタリア、ハンガリー系の企業も採掘を行っている。同日にルーマニアを訪問していたオーストリアのセバスティアン・クルツ首相は、新税を批判した。

 オーストリアでは2016年総選挙で、左派の社会民主党が勝利。しかしその後、党内の派閥対立が激化しており、現在のヴィオリカ・ダンチラ首相は総選挙による政権交代後3人目の首相。

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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