
米環境保護庁(EPA)は12月6日、化石燃料火力発電所の二酸化炭素排出について「新規汚染源排出基準(NSPS)」を改定する方針を発表した。炭素回収・貯蔵(CCS)設備の導入を促した前オバマ政権時代の基準を撤廃する。
米国では、化石燃料火力発電所の二酸化炭素排出については、大気浄化法(CAA)111条で「新規汚染源排出基準(NSPS)」を定め規制している。同規定は、以前はなかったが、2006年にニューヨーク州等11州や環境保護団体等が二酸化炭素排出量規制導入を求め提訴し、2010年にEPAが規制を導入することで原告とEPAの和解が成立。最終的に前オバマ政権時代の2015年8月、二酸化炭素排出量を規制するNSPSが導入された。
現行のNSPSでは、化石燃料火力発電所の二酸化炭素排出量基準設定に当たり、「最善の排出削減システム(BSER)」の導入を想定した際の排出量を基準値として定め、CCS技術もBSERの一つされている。今回の改定方針では、CCS技術をBSERとはみなさず、CCS設備を導入しない想定で基準値を設定しなおすため、基準値は大きく緩和される見通し。
EPAは今回の改定について、「CCS技術はまだ証明されていない技術であり、経済的に法外に高く、地理的に制約がある」とコメント。さらに今回の改定により「二酸化炭素排出量は著しく増加しない」とCCS要件を外しても二酸化炭素排出量は増えないとの見方を示した。
新基準案では、スチーム・ユニット新設では、MWh-gross当たりの二酸化炭素排出量を、現行の1,400ポンドから、大規模ユニットは1,900ポンド、小規模ユニットは2,000ポンドに緩和。また廃棄物(ごみ)発電所向けの基準を別途設定し、2,200ポンドとした。同様にスチーム・ユニットの改修等についても基準を緩和する。
【参照ページ】EPA Proposes 111(b) Revisions to Advance Clean Energy Technology
【法律】NSPS
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら